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評価通達の定めは一般に合理性があると判断、鑑定評価を棄却

 相続した土地等の評価額を巡って、財産評価基本通達(評価通達)に基づいて評価した土地等の評価額には時価を上回る違法があるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、評価通達に基づいて評価した各土地等の価額(つまり審判所算定額)が時価を上回ることが明らかであるとは認められず、審判所算定額をもって相続財産である土地等の価額にすべきであると判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人ら3人(相続人)が、被相続人から相続により取得した土地及び家屋について不動産鑑定評価額に基づく価額とするのが相当であるという判断の下、相続税の申告及び更正の請求をしたところ、原処分庁が各土地及び各家屋は評価通達に基づいて評価した価額とすべきであると判断、更正をすべき理由がない旨の通知処分並びに更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、相続人らが原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、課税処分における課税価格又は税額の算定に当たって、相続財産の価額を評価通達の定めに従って評価したものである場合はその価額が時価と事実上推認されることから、評価通達に基づいて評価した各土地等の価額に時価を上回る違法があることを請求人らが主張、立証するなどして、その推認を覆さない限り、原処分は適法となると指摘した上で、鑑定評価額等には合理性がなく、各土地等の時価とは認められないという主張を展開した。

 これに対して裁決も、個別に評定された路線価は、1)個別評価とされた地区内で標準地を選定し、2)複数の不動産鑑定士等からその標準地に係る鑑定評価又は意見を徴し、3)その鑑定評価又は意見に基づいて地区内に存する路線価を評定するものであり、かかる評定過程は、評価通達14に定める路線価の評定過程とおおむね同様と認定。

 また、個別路線価は、納税者からの照会に対し、相続税等の納税申告の便宜のために教示され、納税申告における財産評価について準拠すべき指針となっていることから、個別路線価に基づいて評価した価額は評価通達に基づいて評価した場合と同様にその評価した財産の時価であると事実上推認することができると認めるのが相当とも指摘した。

 さらに、 家屋の固定資産税評価額は、客観的な基準として定められた固定資産評価基準に基づき評価されたものであり、その評価方法も合理的なものと認められるため、かかる固定資産税評価額に準拠して家屋を評価するものとする評価通達の定めは一般に合理性があり、審判所も相当と認めると指摘して、審査請求を棄却した。

           (2019.04.19 国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2020.03.09 16:05:30