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賃貸アパート節税 4月から控除の対象外に 駆け込み業者は税務調査で排除

 節税を目的にした賃貸アパート経営やマンション投資について、政府が税制改正や監視強化で大幅に抑制する姿勢に転じた。主に富裕層の間で広がってきた節税策だが、不正融資につながることも珍しくなく、税務当局は対応を迫られてきた。地価を押し下げる副効果も期待されており、今後の展開に注目が集まっている。
 自己資金や借入金でアパートやマンションを建てて家賃収入を得る賃貸経営は、不動産業界や金融機関が「定期収入が入って老後が安心」というキャッチフレーズとともに勧誘してきた。家賃収入にかかる所得税や将来の相続税も抑えられる手法も同時に考案され、富裕層を中心に人気が広がった。
 例えば消費税は、事業者が課税売上の10%を国に納め際、仕入れの段階で費用の中に消費税分が含まれていれば、二重課税を避けるためその分を納税額から差し引くことができる。ただ家賃収入は消費税がかからないため、本来は控除が受けられない。そのため消費税の課税対象となる金を売買して売上高を作り出して仕入れ時の税額控除を容認させ、賃貸住宅の建設費用から消費税分を還付する仕組みが編み出された。
 政府は2020年度の税制改正で消費税法を見直し、賃貸住宅を控除の対象から外すことにした。新築は4月以降、中古は10月以降の契約分から適用し、その前に業界が駆け込みを図った場合も税務調査で排除する考えだ。
 また賃貸物件は相続税の目安となる評価額が低くなりやすいため、現預金で相続するより税額が少なくなることが多い。このため税務当局は、評価額の目減りについて既に積極的に否定し始めているという。

提供元:エヌピー通信社

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 節税を目的にした賃貸アパート経営やマンション投資について、政府が税制改正や監視強化で大幅に抑制する姿勢に転じた。主に富裕層の間で広がってきた節税策だが、不正融資につながることも珍しくなく、税務当局は対応を迫られてきた。地価を押し下げる副効果も期待されており、今後の展開に注目が集まっている。 自己資金や借入金でアパートやマンションを建てて家賃収入を得る賃貸経営は、不動産業界や金融機関が「定期収入が入って老後が安心」というキャッチフレーズとともに勧誘してきた。家賃収入にかかる所得税や将来の相続税も抑えられる手法も同時に考案され、富裕層を中心に人気が広がった。 例えば消費税は、事業者が課税売上の10%を国に納め際、仕入れの段階で費用の中に消費税分が含まれていれば、二重課税を避けるためその分を納税額から差し引くことができる。ただ家賃収入は消費税がかからないため、本来は控除が受けられない。そのため消費税の課税対象となる金を売買して売上高を作り出して仕入れ時の税額控除を容認させ、賃貸住宅の建設費用から消費税分を還付する仕組みが編み出された。 政府は2020年度の税制改正で消費税法を見直し、賃貸住宅を控除の対象から外すことにした。新築は4月以降、中古は10月以降の契約分から適用し、その前に業界が駆け込みを図った場合も税務調査で排除する考えだ。 また賃貸物件は相続税の目安となる評価額が低くなりやすいため、現預金で相続するより税額が少なくなることが多い。このため税務当局は、評価額の目減りについて既に積極的に否定し始めているという。提供元:エヌピー通信社
2020.03.05 16:28:05