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親子間の預金口座による資金移動に贈与事実は認められないと裁決

 父親の預金口座の金銭が子どもの預金口座に入金されたという親子間における資金移動を巡り、子どもがその資金移動によって父親からの贈与により取得した金員であるか否かの認定の可否判断が争われた事件で国税不服審判所は、子どもが父親の指示に基づいて会議等に出席するための交通費等を支弁する目的のものであったと認められることから、父親から子どもへの贈与があったと認められないと判断、原処分を全部取り消した。

 この事件は、審査請求人の父親の預金口座から出金され、請求人である子どもの預金口座に入金された金銭に対して、原処分庁が、子どもが被相続人である父親からの贈与によって取得したものと認定、贈与税の決定処分等をしてきたのが発端となった。

 そこで請求人側が、贈与の事実はなかったと主張、再調査決定を経た後に、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案であるが、請求人は、被相続人である父親が死亡するまで営んでいた病医院の青色専従者という立場にあったため、原処分庁が贈与認定に及んだといえよう。

 原処分庁側はまず、各資金移動に関して、請求人と父親との間で金銭消費貸借契約が締結された事実及び請求人が主張するような立替費用の精算や前渡しの事実は認められないと指摘。その上で、請求人と父親との間には、民法549条が定める贈与契約の要件事実について黙示の合意があったと認めるのが相当であるから、各資金移動によって父親からの贈与によって財産を取得したと主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。

 裁決は、相続税法上の贈与を明確に定義する規定はなく、相続税法上の贈与は民法549条が定める贈与をいうと解釈する一方で、相続税法9条は実質的に贈与と同様の経済的な利益を生ずる場合は、利益を受けさせた者からの贈与により取得したものとみなして贈与税を課税することにしていると解釈した。

 その上で、原処分庁側の主張に触れ、確かに、審判所の調査結果によっても、各資金移動について、金銭消費貸借契約が締結されていたという事実は認められないと指摘しつつも、各資金移動に関する金銭消費貸借契約が締結されていなかったという事実だけで、贈与に関する黙示の合意があったとは認めることはできないと指摘。また、父親の指示に基づいて請求人が医療専門団体の会議に出席した際の交通費等を支弁する目的で各資金移動をしていたとも認定した。その結果、原処分庁の主張には理由がないと判断して全部取り消した。

                         (2019.06.27国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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3月31日更新

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2020.02.21 16:04:11