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AI時代の税務調査 社長の「声」で脱税看破? 来年度にもスタート

 国税庁は2021年度にも、人工知能(AI)を使って税務調査の対象企業を選定する新たなシステムを導入する方針を決めた。公表されている財務資料や、業績を説明する経営者の音声データを分析し、脱税などの疑いがある企業を絞り込む。AIの活用で調査を効率化し、不正事案の早期摘発や監視強化につなげる。
 新システムが対象として想定しているのは、有価証券報告書など財務資料が公開されている大企業だ。まずAIが実際にあった脱税、申告漏れ事案の手口を学習。公開されている財務資料を分析し、業績に絡む記述の中で過去の脱税事案で多用された文言などがないかチェックする。
 さらに決算説明会に出席した経営陣の音声データや、アニュアルリポート(年次事業報告書)に掲載された経営トップの写真、メッセージも分析する。過去の事例では、リスクを好んだり自己陶酔型の説明をしたりする経営者ほど、監査法人に高い報酬を支払って癒着し、不正に手を染めているケースが多いという。こうしたAIの分析結果に、過去の税務調査で得た内部情報を加味して、実際に税務調査を行う企業を選定する流れになる。
 法人税の申告漏れは増加傾向にあり、国税当局が19年6月までの1年間の調査で指摘した件数は前年同期比1.8%増の7万4000件、金額ベースでは1兆3813億円で38%も増えた。特に海外取引が絡む事案の金額は6968億円で前年同期の1.9倍に膨らみ、手口も巧妙化している。従来の調査対象企業の選定は、担当者の手作業や勘で膨大な財務資料を分析しており、効率性に課題があった。国税庁はAIの導入により、選定作業にかかる時間を大幅に短縮し、不正を発見する精度を向上させたい意向だ。

提供元:エヌピー通信社



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 国税庁は2021年度にも、人工知能(AI)を使って税務調査の対象企業を選定する新たなシステムを導入する方針を決めた。公表されている財務資料や、業績を説明する経営者の音声データを分析し、脱税などの疑いがある企業を絞り込む。AIの活用で調査を効率化し、不正事案の早期摘発や監視強化につなげる。 新システムが対象として想定しているのは、有価証券報告書など財務資料が公開されている大企業だ。まずAIが実際にあった脱税、申告漏れ事案の手口を学習。公開されている財務資料を分析し、業績に絡む記述の中で過去の脱税事案で多用された文言などがないかチェックする。 さらに決算説明会に出席した経営陣の音声データや、アニュアルリポート(年次事業報告書)に掲載された経営トップの写真、メッセージも分析する。過去の事例では、リスクを好んだり自己陶酔型の説明をしたりする経営者ほど、監査法人に高い報酬を支払って癒着し、不正に手を染めているケースが多いという。こうしたAIの分析結果に、過去の税務調査で得た内部情報を加味して、実際に税務調査を行う企業を選定する流れになる。 法人税の申告漏れは増加傾向にあり、国税当局が19年6月までの1年間の調査で指摘した件数は前年同期比1.8%増の7万4000件、金額ベースでは1兆3813億円で38%も増えた。特に海外取引が絡む事案の金額は6968億円で前年同期の1.9倍に膨らみ、手口も巧妙化している。従来の調査対象企業の選定は、担当者の手作業や勘で膨大な財務資料を分析しており、効率性に課題があった。国税庁はAIの導入により、選定作業にかかる時間を大幅に短縮し、不正を発見する精度を向上させたい意向だ。提供元:エヌピー通信社
2020.02.20 17:07:50