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サンゴ漁から生ずる所得を変動所得と判断、原処分を全部取消し


 いわゆるサンゴ漁から生じた所得が平均課税の対象となる変動所得に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、サンゴ漁は水産動物の捕獲又は採取に他ならないことから漁獲に該当すると判断するとともに、サンゴ漁に係る所得は漁獲から生ずる所得として平均課税の対象となる変動所得に該当すると判断、原処分を全部取り消した。

 この事件は、サンゴ漁を営む個人事業者が、サンゴ漁に係る所得は変動所得に該当し、平均課税制度の適用ができるという考えから、原処分庁に対して所得税等の更正の請求をしたのがそもそもの発端になったもので、これに対して原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ってきたことから、サンゴ漁を営む個人事業者が原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 審査請求に対して原処分庁側は、1)宝石サンゴは自ら移動せず水産植物と同様の生態であることや採取された宝石サンゴの殆どが死滅した枯れ木であることなどから、所得税基本通達2-30(漁獲の意義)に定める「水産動物を捕獲すること」に当たらず、また2)宝石サンゴは他の水産動物とは異なり、天候等の自然現象によって漁獲高が変動しない――ことを理由に、所得税法2条1項23号に規定される「漁獲」には該当せず、サンゴ漁に係る所得は変動所得に該当しない旨主張して、審査請求の棄却を求めた。

 変動所得や臨時所得の合計額がその年分の総所得金額の100分の20以上の場合は、その年分の課税総所得金額に係る所得税の額は、平均課税の方法により計算する旨(所法90①)規定されており、この仕組みが平均課税制度と呼ばれるもの。

 そこで裁決は、平均課税制度の趣旨や変動所得に係る規定の改正経緯に照らすと、所得税法2条1項23号に規定される「漁獲」とは、水産物の捕獲又は採取を意味し、海草等の水産植物の採取や養殖(水産養殖)はこれには含まれないと解釈できることから、宝石サンゴは海中から採れる水産物(生物学上は動物に分類される。)であり、サンゴ漁は水産動物の捕獲又は採取に他ならないから同号に規定される「漁獲」に該当すると認定。その認定の下、請求人の営むサンゴ漁に係る所得は、「漁獲から生ずる所得」として平均課税の対象となる変動所得に該当すると判断、原処分を全部取り消した。

                          (2019.05.28国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2月19日更新

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2020.02.07 17:05:02