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職業活動は海外を本拠にしていたと認定、納税者側の主張を認容

 非居住者・居住者のいずれに該当するかの判断が争われた事件で東京地裁(清水知恵子裁判長)は、職業活動に適応した生活の在り方として、妻らの生活の本拠を海外に移さず日本の居宅のままとし、納税者が帰国した時に休暇も兼ねて妻らと会うという方法を選択したものと認定、生計を一にする妻らが国内に居住していたことをもって、納税者の生活の本拠が日本国内にあったことを積極的に基礎付けるものとはいえないと判示して、原処分庁側の主張を斥けた。

 この事件は、納税者自らが非居住者に該当するという認識から、過去3年分についていずれも確定申告期限までに所得税の申告をしなかったところ、原処分庁から、居住者に該当すると認定されて期限後申告を勧奨されたのが発端。そこで、各年分の所得税について期限後申告を行った上で、2年分の所得税について更正の請求をしたところ、原処分庁からいずれも更正をすべき理由がない旨の通知を受けるとともに、各年分の所得税の無申告加算税に係る賦課決定処分を受けた。

 その一方で、納税者自らが代表取締役を務める法人が支払った役員報酬について、法人側も非居住者に該当するとの前提で所得税を源泉徴収して納付していたところ、原処分庁から所轄税務署長から居住者に該当すると認定され、過去3年分の各月分の源泉徴収に係る源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分も受けていた。そこで、納税者側が原処分の取消しを求めて提訴したという事案である。

 判決はまず、所得税法が定める住所とは、生活の本拠、すなわちその者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり、一定の場所がある者の住所であるか否かは客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当と最高裁平成23年2月18日判決を引き合いに解釈した上で、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かは、滞在日数、住居、職業、生計を一にする配偶者その他の親族の居所、資産の所在等を総合的に考慮して判断するのが相当であると判示。

 その結果、各年を通じて海外法人の業務に従事するために相応の日数において海外に滞在し、その海外の国を主な拠点として他の国への渡航を繰り返しており、これらの滞在日数を合わせると年間の約4割に上っていたことなどから、職業活動は海外を本拠として行われていたと認定するとともに、日本国内の滞在日数と海外における滞在日数とに有意な差を認めることはできないとも認定。また、生計を一にする家族の居所、資産の所在及びその他の事情についても、生活の本拠が日本にあったことを積極的に基礎付けるものとはいえないことから、生活の本拠が日本にあったと認めることはできないと認定して、納税者側の主張を全面的に認容する判決を言い渡した。

(2019.05.30東京地裁判決、平成28年(行ウ)第434号等)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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3月31日更新

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 非居住者・居住者のいずれに該当するかの判断が争われた事件で東京地裁(清水知恵子裁判長)は、職業活動に適応した生活の在り方として、妻らの生活の本拠を海外に移さず日本の居宅のままとし、納税者が帰国した時に休暇も兼ねて妻らと会うという方法を選択したものと認定、生計を一にする妻らが国内に居住していたことをもって、納税者の生活の本拠が日本国内にあったことを積極的に基礎付けるものとはいえないと判示して、原処分庁側の主張を斥けた。 この事件は、納税者自らが非居住者に該当するという認識から、過去3年分についていずれも確定申告期限までに所得税の申告をしなかったところ、原処分庁から、居住者に該当すると認定されて期限後申告を勧奨されたのが発端。そこで、各年分の所得税について期限後申告を行った上で、2年分の所得税について更正の請求をしたところ、原処分庁からいずれも更正をすべき理由がない旨の通知を受けるとともに、各年分の所得税の無申告加算税に係る賦課決定処分を受けた。 その一方で、納税者自らが代表取締役を務める法人が支払った役員報酬について、法人側も非居住者に該当するとの前提で所得税を源泉徴収して納付していたところ、原処分庁から所轄税務署長から居住者に該当すると認定され、過去3年分の各月分の源泉徴収に係る源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分も受けていた。そこで、納税者側が原処分の取消しを求めて提訴したという事案である。 判決はまず、所得税法が定める住所とは、生活の本拠、すなわちその者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり、一定の場所がある者の住所であるか否かは客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当と最高裁平成23年2月18日判決を引き合いに解釈した上で、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かは、滞在日数、住居、職業、生計を一にする配偶者その他の親族の居所、資産の所在等を総合的に考慮して判断するのが相当であると判示。 その結果、各年を通じて海外法人の業務に従事するために相応の日数において海外に滞在し、その海外の国を主な拠点として他の国への渡航を繰り返しており、これらの滞在日数を合わせると年間の約4割に上っていたことなどから、職業活動は海外を本拠として行われていたと認定するとともに、日本国内の滞在日数と海外における滞在日数とに有意な差を認めることはできないとも認定。また、生計を一にする家族の居所、資産の所在及びその他の事情についても、生活の本拠が日本にあったことを積極的に基礎付けるものとはいえないことから、生活の本拠が日本にあったと認めることはできないと認定して、納税者側の主張を全面的に認容する判決を言い渡した。(2019.05.30東京地裁判決、平成28年(行ウ)第434号等)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2020.02.04 15:54:29