HOME ニュース一覧 元従業員の横領行為を法人の行為とは同視できないと判断、取消し

税ニュース

元従業員の横領行為を法人の行為とは同視できないと判断、取消し

 法人の元従業員が行ったインターネットオークション取引による横領に対する損害賠償請求権の発生の時期の判断が争われた事件で国税不服審判所は、先例に沿って損害賠償請求権を益金の額に算入すべきと判断したものの、法人側に隠蔽行為があったとは認められないこと等を理由に、更正処分の全部又は一部、重加算税の賦課決定処分の全部又は一部、さらに青色申告の承認取消処分を取り消す旨の裁決を言い渡した。

 この事件は、農業機械機具の販売等を目的とする株式会社(審査請求人)の元従業員が、同法人が仕入れた商品をインターネットオークション取引で販売して収益を得ていたことが発端になったもの。

 これに対して原処分庁が、元従業員の横領による収益は法人に帰属すると認定するとともに、その収益を帳簿書類に記載せず、隠蔽していたことなどを理由に挙げて、法人税の青色申告承認の取消処分、法人税等及び消費税等の更正処分並びに重加算税等の賦課決定処分をしてきたわけだ。そこで法人側が、それらの収益は法人には帰属しないなどと主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり法人側は、同法人の従業員であった者(元従業員)が、同法人が仕入れた商品を窃取してインターネットオークション取引で販売して収益をあげたという元従業員の横領行為に対する損害賠償請求権の額は、その取引の日を含む事業年度の終了時に確定できる状況になかった旨主張して原処分の全部取消しを求めたわけだ。

 裁決は、損害賠償請求権の額は、仕入れに係る資料と売上げ及び棚卸しに係る資料を照合し、窃取された商品を特定した上、その商品に係る価額等に係る資料を保全することで計算できた金額を上回らないものと認められ、通常人基準からは、その金額を把握し得ないとはいえないと指摘。また、損害賠償請求権を行使できない客観的状況があったともいえないことから、損害賠償請求権の確定による収益をその事業年度の益金に算入すべきと判断した。

 その一方で、元従業員の行為は法人の行為とは同視できず、法人が法人税や消費税等の課税標準等及び税額等の計算の基礎となる事実を隠蔽したとは認められないと認定して青色申告承認の取消処分を取り消した他、申告期限から5年経過後の法人税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の全部を、また5年以内の法人税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の一部並びに消費税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の全部を取り消した。

                         (2019.05.16国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



この記事のカテゴリ

関連リンク

地方創生後押しのため「企業版ふるさと納税」を拡充

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら

 

週間ニュースランキング

2月6日更新

税ニュース
/news/tax/2020/img/img_hojin_02_s.jpg
 法人の元従業員が行ったインターネットオークション取引による横領に対する損害賠償請求権の発生の時期の判断が争われた事件で国税不服審判所は、先例に沿って損害賠償請求権を益金の額に算入すべきと判断したものの、法人側に隠蔽行為があったとは認められないこと等を理由に、更正処分の全部又は一部、重加算税の賦課決定処分の全部又は一部、さらに青色申告の承認取消処分を取り消す旨の裁決を言い渡した。 この事件は、農業機械機具の販売等を目的とする株式会社(審査請求人)の元従業員が、同法人が仕入れた商品をインターネットオークション取引で販売して収益を得ていたことが発端になったもの。 これに対して原処分庁が、元従業員の横領による収益は法人に帰属すると認定するとともに、その収益を帳簿書類に記載せず、隠蔽していたことなどを理由に挙げて、法人税の青色申告承認の取消処分、法人税等及び消費税等の更正処分並びに重加算税等の賦課決定処分をしてきたわけだ。そこで法人側が、それらの収益は法人には帰属しないなどと主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。 つまり法人側は、同法人の従業員であった者(元従業員)が、同法人が仕入れた商品を窃取してインターネットオークション取引で販売して収益をあげたという元従業員の横領行為に対する損害賠償請求権の額は、その取引の日を含む事業年度の終了時に確定できる状況になかった旨主張して原処分の全部取消しを求めたわけだ。 裁決は、損害賠償請求権の額は、仕入れに係る資料と売上げ及び棚卸しに係る資料を照合し、窃取された商品を特定した上、その商品に係る価額等に係る資料を保全することで計算できた金額を上回らないものと認められ、通常人基準からは、その金額を把握し得ないとはいえないと指摘。また、損害賠償請求権を行使できない客観的状況があったともいえないことから、損害賠償請求権の確定による収益をその事業年度の益金に算入すべきと判断した。 その一方で、元従業員の行為は法人の行為とは同視できず、法人が法人税や消費税等の課税標準等及び税額等の計算の基礎となる事実を隠蔽したとは認められないと認定して青色申告承認の取消処分を取り消した他、申告期限から5年経過後の法人税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の全部を、また5年以内の法人税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の一部並びに消費税等の更正処分及び重加算税の賦課決定処分の全部を取り消した。                         (2019.05.16国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2020.01.28 16:10:21