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税制改正大綱、年金課税は「検討事項」に

 自民・公明両党は12月12日、令和2年度税制改正大綱を取りまとめたが、年金課税をはじめ懸案となっていたいくつかの改正は見送られ、「検討事項」に盛り込まれた。

 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金をはじめとした各種年金制度間のバランス、貯蓄・投資商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意するとともに、平成30年度税制改正の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制度改革の方向性、諸外国の例も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討するとした。

 デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備する観点から、多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための実効性ある方策の必要性を踏まえ、検討することとした。

 また小規模企業等に係る税制のあり方については、働き方の多様化を踏まえ、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮し、給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討するとした。

 このほか、カジノから生じる所得にかかる適正な申告の確保等の観点から、関連する納税環境の整備について、IR事業の開業に向けて今後検討するとし、その際、事業者の事務負担や国際競争力の確保についても考慮する。また、自社株式を対価とした公開買付け等に係る課税のあり方については、会社法制の見直しを踏まえ、組織再編税制等も含めた理論的な整理を行った上で、必要な税制措置について検討する。

 自動車関係諸税については、技術革新や保有から利用への変化等の自動車を取り巻く環境変化の動向、環境負荷の低減に対する要請の高まり等を踏まえつつ、国・地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、その課税のあり方について、中長期的な視点に立って検討するとした。

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 自民・公明両党は12月12日、令和2年度税制改正大綱を取りまとめたが、年金課税をはじめ懸案となっていたいくつかの改正は見送られ、「検討事項」に盛り込まれた。 年金課税については、少子高齢化が進展し、年金受給者が増大する中で、世代間及び世代内の公平性の確保や、老後を保障する公的年金、公的年金を補完する企業年金をはじめとした各種年金制度間のバランス、貯蓄・投資商品に対する課税との関連、給与課税等とのバランス等に留意するとともに、平成30年度税制改正の公的年金等控除の見直しの考え方や年金制度改革の方向性、諸外国の例も踏まえつつ、拠出・運用・給付を通じて課税のあり方を総合的に検討するとした。 デリバティブを含む金融所得課税の更なる一体化については、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備する観点から、多様なスキームによる意図的な租税回避行為を防止するための実効性ある方策の必要性を踏まえ、検討することとした。 また小規模企業等に係る税制のあり方については、働き方の多様化を踏まえ、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランスや勤労性所得に対する課税のあり方等にも配慮し、給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討するとした。 このほか、カジノから生じる所得にかかる適正な申告の確保等の観点から、関連する納税環境の整備について、IR事業の開業に向けて今後検討するとし、その際、事業者の事務負担や国際競争力の確保についても考慮する。また、自社株式を対価とした公開買付け等に係る課税のあり方については、会社法制の見直しを踏まえ、組織再編税制等も含めた理論的な整理を行った上で、必要な税制措置について検討する。 自動車関係諸税については、技術革新や保有から利用への変化等の自動車を取り巻く環境変化の動向、環境負荷の低減に対する要請の高まり等を踏まえつつ、国・地方を通じた財源を安定的に確保していくことを前提に、その課税のあり方について、中長期的な視点に立って検討するとした。提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2019.12.18 16:29:10