HOME ニュース一覧 滞納国税に係る担保処分にも民法の規定が適用されると判断、棄却

税ニュース

滞納国税に係る担保処分にも民法の規定が適用されると判断、棄却

 国税を担保するために抵当権が設定された後に、担保不動産上に建物が築造された場合に、その担保不動産及び建物を一括して公売するために、国税通則法52条1項及び民法389条1項に基づく担保権の実行としてその建物を差し押さえることができるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、滞納国税に係る担保の処分においても民法389条1項が適用されることから差押処分は適法と判断、審査請求を棄却した。

 この事件、審査請求人の滞納国税を徴収するため、原処分庁が請求人から提供された担保不動産に対する抵当権を設定した後にその担保不動産の上に築造された請求人の建物に対して差押処分をしてきたのが発端になったもので、請求人側が滞納国税を徴収するためにはその担保不動産を差し押えるだけで十分であるなどと主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり請求人側は、滞納国税を徴収するためには、滞納国税の担保には抵当権が設定された各不動産の差押えだけで十分であることからに、抵当権が設定された後に各不動産上に築造された建物に対する差押処分は違法である旨主張したわけだ。

 裁決はまず、民法389条(抵当地の上の建物の競売)1項は、民事執行における競売手続きにおいて、土地利用権のない建物の存続を図る形で売却することにより社会経済的損失を回避するとともに、競売手続きの円滑な運営を目的として、土地の抵当権に内在する換価権を建物に拡大したものであると解釈した上で、そうした要請は、滞納処分における公売手続にも当てはまるという解釈を示した。

 一方、国税通則法52条1項は、担保権を実行するための要件及びその方法を定めているにすぎないことから、国税を担保するために設定された抵当権であっても、その抵当権に内在する換価権の及ぶ範囲については実体法である民法に委ねていると解すべきであるから、国税の担保の処分においても民法389条1項が適用されるという解釈を示した。

 そうすると、この差押処分は、国税通則法52条(担保の処分)4項の規定に基づいて行われたものではなく、各不動産及び物置を一括して公売に付すために同条1項及び民法389条1項に基づく担保権の実行として行われたものであり、担保として提供された財産の処分の代金を滞納国税等に充ててもなお不足があると認めることを要件とするものではないから、差押処分は適法であると判断、審査請求を棄却した。

       (2019.02.05国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

この記事のカテゴリ

関連リンク

所得税調査、1割の実地調査で申告漏れの6割を把握

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら

 

週間ニュースランキング

12月9日更新

税ニュース
/news/tax/2019/img/img_kokuzeitsusoku_01_s.jpg
 国税を担保するために抵当権が設定された後に、担保不動産上に建物が築造された場合に、その担保不動産及び建物を一括して公売するために、国税通則法52条1項及び民法389条1項に基づく担保権の実行としてその建物を差し押さえることができるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、滞納国税に係る担保の処分においても民法389条1項が適用されることから差押処分は適法と判断、審査請求を棄却した。 この事件、審査請求人の滞納国税を徴収するため、原処分庁が請求人から提供された担保不動産に対する抵当権を設定した後にその担保不動産の上に築造された請求人の建物に対して差押処分をしてきたのが発端になったもので、請求人側が滞納国税を徴収するためにはその担保不動産を差し押えるだけで十分であるなどと主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。 つまり請求人側は、滞納国税を徴収するためには、滞納国税の担保には抵当権が設定された各不動産の差押えだけで十分であることからに、抵当権が設定された後に各不動産上に築造された建物に対する差押処分は違法である旨主張したわけだ。 裁決はまず、民法389条(抵当地の上の建物の競売)1項は、民事執行における競売手続きにおいて、土地利用権のない建物の存続を図る形で売却することにより社会経済的損失を回避するとともに、競売手続きの円滑な運営を目的として、土地の抵当権に内在する換価権を建物に拡大したものであると解釈した上で、そうした要請は、滞納処分における公売手続にも当てはまるという解釈を示した。 一方、国税通則法52条1項は、担保権を実行するための要件及びその方法を定めているにすぎないことから、国税を担保するために設定された抵当権であっても、その抵当権に内在する換価権の及ぶ範囲については実体法である民法に委ねていると解すべきであるから、国税の担保の処分においても民法389条1項が適用されるという解釈を示した。 そうすると、この差押処分は、国税通則法52条(担保の処分)4項の規定に基づいて行われたものではなく、各不動産及び物置を一括して公売に付すために同条1項及び民法389条1項に基づく担保権の実行として行われたものであり、担保として提供された財産の処分の代金を滞納国税等に充ててもなお不足があると認めることを要件とするものではないから、差押処分は適法であると判断、審査請求を棄却した。        (2019.02.05国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2019.12.02 16:34:41