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収益は権利が確定した事業年度に計上すべきと指摘、棄却、却下

 債務整理事業等の弁護士業務を営む法人の収益を巡って、計上すべき時期の判断が争われた事件で国税不服審判所は、一般に公正妥当と認められる会計処理基準に従うべきであり、収益の実現があった時つまり収入すべき権利が確定した時の属する事業年度の益金に計上すべきという解釈を示した上で、結果的には、審判所の計算額が原処分庁の計算額を下回った部分の一部を取り消したものの、その他の部分は棄却、却下する裁決を言い渡した。

 この事件は、債務整理事業等を主に行う弁護士法人(審査請求人)の申告を巡って、原処分庁が売上計上漏れ等を理由に、法人税等の更正処分等をしてきたことから、弁護士法人側が、原処分庁が売上計上漏れを認定した金額に誤りがあること、また従業員らの横領行為による損失の額をその行為があった日の属する事業年度の損金の額に算入すべきであると主張して、更正処分等の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり、弁護士法人側は、原処分庁が売上計上漏れと認定した事件業務に係る請求金額の一部は、1)請求した金額ではなく調停によって減額が決定した金額である、2)着手金の支払いがなく委任契約が途中解約されていることから零円である、さらに3)日当旅費は、委任契約上免除する旨の合意がありその支払いもなかったことから零円である――ことなどを理由に挙げて、益金の額が過大である旨主張した。

 これに対して、原処分庁側は、事件業務の売上高は弁護士法人が保管していた顧客との委任契約書及び請求書を基に算出したもので、事件業務に係る契約が解除された等の事実は認められない旨主張して、審査請求の棄却を求めたわけだ。

 裁決は、収益は収入すべき権利が確定した事業年度の益金に計上すべきという解釈を示した上で、上記1)及び2)は請求人が報酬金を依頼人に請求していることから、その時点で報酬金の支払請求権が確定したと認められ、請求金額は請求した事業年度の益金の額に算入され、また3)は依頼人との委任契約書で日当を免除する旨定められているため、請求人は依頼人に日当を請求する権利を有していたとは認められず、請求書に記載されている日当の額は益金の額に算入されないと認定。

 一方、1)の減額金額は、請求した事業年度の益金の額に算入されるものの、翌事業年度に減額が確定しており、その減額金額は翌事業年度の損金の額に算入され、及び3)の金額は益金の額に算入されない――ことから、それらの部分を取り消すべきであるという判断を示した。

(2018.10.14国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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2月6日更新

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2019.10.11 16:28:02