第４次再改造内閣 党税調会長に甘利氏
安倍晋三首相（自民党総裁）は９月11日、内閣改造・党役員人事を行い、自民党税制調査会長に甘利明衆院議員の就任を決めた。甘利氏は11日、報道陣の取材に応じ、「成長、分配、財政再建を総合的にバランスよく考えなければならない」と意欲を示した。「成長に資する投資環境をどう作るかが大事だ」と経済成長を重視する一方、「ばらまき税制はできない」として財政規律にも配慮する考えだ。
甘利氏は、第２次内閣発足時から経済再生担当相として安倍政権の経済政策「アベノミクス」の司令塔を担ったほか、環太平洋戦略的経済連携協定（TPP）交渉を進めるなど、首相の信頼が厚い。2016年１月に秘書の金銭授受疑惑で閣僚を辞任したが、今年７月の参院選では選対委員長として勝利に尽力し、処遇が注目されていた。
毎年末の税制改正を取り仕切る自民税調は、税財政に精通した「専門家」が会長を務めるケースが多かったが、今後は産業・通商政策にも詳しい甘利氏が引っ張ることになる。
税制改正を巡っては、膨張する社会保障費の財源確保が課題になるほか、働き方の多様化や経済のデジタル化など、経済・社会の変化に合わせた制度改正が急務。「（税は）良い経済成長サイクルをつくるためのインフラ」と語る甘利氏の手腕が注目される。
一方、麻生太郎副総理兼財務相は留任。麻生氏は11日の記者会見でこれまでを振り返り、2018年度の税収がバブル期超えの60兆3563億円になったことに言及。10月からは消費税を引き上げ、今年度の税収見込みは62兆円になるとして、「経済の成長、景気がうまく回っていくようにしていかなければいけない」と抱負を語った。
提供元：エヌピー通信社
