老後資産、地方経済に重点 税制改正要望出そろう
令和2年度税制改正に向けた各省庁の要望が出そろった。超高齢化社会の到来を背景に老後資産への関心が高まる中、資産形成を促す優遇措置に関する要望や、地方経済活性化に向けた要望が目立つ。
金融庁は、老後に備えた資産形成を促す少額投資非課税制度(NISA)の恒久化を要望。個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入対象拡大と対象年齢の引上げを検討している厚生労働省では、掛け金の税優遇の65歳までの延長を要望した。厚労省はベビーシッターなどの利用について消費税を非課税とすることも要望している。
地方経済活性化に向けた要望では、内閣府が「企業版ふるさと納税」の拡充を要望。寄付額に応じた控除の割合を現在の6割から9割に広げることを求めたほか、企業の地方移転を促す「地方拠点強化税制」の延長・拡充も求めている。
国土交通省では、地方の「空き地」活用を後押しするため、移住者や企業に空き地を譲渡した際の利益に税優遇を設けるよう要望。経済産業省では、軽減税率制度の導入などに伴う企業の納税事務負担増を踏まえ、消費税の申告期限延長を求めている。
10月に消費税増税が行われることもあり改正要望は全体として“小粒”な印象。今後、財務相と各省庁が詳細を詰めた上、与党が協議して年末までに税制改正大綱をまとめる運びとなる。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)