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馬券の払戻金を除外した申告逃れに懲役刑と罰金を選択併科

 いわゆる競馬の馬券投票券の払戻金による一時所得を除外して所得を秘匿した上、虚偽の所得税確定申告書を提出したまま法定納期限を徒過させて所得税を免れていた事件で大阪地裁(村越一浩裁判長)は、地方公務員である被告人に懲役6ヵ月及び罰金1200万円(懲役刑は執行猶予2年間)に処する判決を言い渡した。

 この事件は、勝馬投票券(馬券)の払戻金による一時所得を除外した上で虚偽の所得税等の確定申告(いわゆる過少申告)をし、2年分の所得税額6000万円余をほ脱したとして告発されたもの。

 公訴事実自体に争いはなく、被告人側の弁護人は公訴権濫用、可罰的違法性の不存在、違法収集証拠の排除の観点から、馬券の払戻しによる所得は極めて偶発性が高く、今後、同種の所得を得る見込みが殆どないことから、単純にほ脱所得税額のみをもって可罰性を判断すべきではないと主張した。

 このほか、馬券の払戻金に対する課税制度が流動的な状況にある中で刑事罰を科すことは著しく不当であること、また査察調査の際にいわゆる横目調査あるいは悉皆調査といったプライバシー等を侵害する重大な違法調査がなされた可能性が否定できないなどの事情に鑑みれば、公訴提起は著しく公平性を欠き、公訴権濫用として公訴が棄却されるか、可罰的違法性が認められず無罪であるなどという主張を展開した。

 これに対して判決はまず、事件発覚の端緒は金融機関調査を行っていた国税局査察部の査察官が発見したことによるものであると指摘。しかし、当初から被告人を狙い撃ちにしようとして調査を開始したとは考えられず、本件の金融機関が調査対象とされたのは、別件犯則事件の調査上必要であったためであると考えられると判断した。ただ、口座の情報を査察官が持ち帰った点については、別件犯則事件の調査としての必要性に疑問を呈した。被告人に対する調査として、銀行側の同意を得た上で情報を持ち帰ることも可能だったからだ。

 その結果、これら一連の調査については違法の疑いが残ると指摘したものの、その調査によって得られた銀行口座の情報を基に作成された各査察官調査書の証拠能力を否定しなければならないほどの重大な違法は認められないとして、弁護人の主張には理由がないと斥けた。結局、犯情に照らせば、懲役刑及び罰金刑を選択併科することはやむを得ないというべきであると判示して、罰金1200万円及び懲役6ヵ月(執行猶予2年間)を言い渡した。

(2018.05.09大阪地裁判決、平成28年(わ)第4190号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2月6日更新

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 いわゆる競馬の馬券投票券の払戻金による一時所得を除外して所得を秘匿した上、虚偽の所得税確定申告書を提出したまま法定納期限を徒過させて所得税を免れていた事件で大阪地裁(村越一浩裁判長)は、地方公務員である被告人に懲役6ヵ月及び罰金1200万円(懲役刑は執行猶予2年間)に処する判決を言い渡した。 この事件は、勝馬投票券(馬券)の払戻金による一時所得を除外した上で虚偽の所得税等の確定申告(いわゆる過少申告)をし、2年分の所得税額6000万円余をほ脱したとして告発されたもの。 公訴事実自体に争いはなく、被告人側の弁護人は公訴権濫用、可罰的違法性の不存在、違法収集証拠の排除の観点から、馬券の払戻しによる所得は極めて偶発性が高く、今後、同種の所得を得る見込みが殆どないことから、単純にほ脱所得税額のみをもって可罰性を判断すべきではないと主張した。 このほか、馬券の払戻金に対する課税制度が流動的な状況にある中で刑事罰を科すことは著しく不当であること、また査察調査の際にいわゆる横目調査あるいは悉皆調査といったプライバシー等を侵害する重大な違法調査がなされた可能性が否定できないなどの事情に鑑みれば、公訴提起は著しく公平性を欠き、公訴権濫用として公訴が棄却されるか、可罰的違法性が認められず無罪であるなどという主張を展開した。 これに対して判決はまず、事件発覚の端緒は金融機関調査を行っていた国税局査察部の査察官が発見したことによるものであると指摘。しかし、当初から被告人を狙い撃ちにしようとして調査を開始したとは考えられず、本件の金融機関が調査対象とされたのは、別件犯則事件の調査上必要であったためであると考えられると判断した。ただ、口座の情報を査察官が持ち帰った点については、別件犯則事件の調査としての必要性に疑問を呈した。被告人に対する調査として、銀行側の同意を得た上で情報を持ち帰ることも可能だったからだ。 その結果、これら一連の調査については違法の疑いが残ると指摘したものの、その調査によって得られた銀行口座の情報を基に作成された各査察官調査書の証拠能力を否定しなければならないほどの重大な違法は認められないとして、弁護人の主張には理由がないと斥けた。結局、犯情に照らせば、懲役刑及び罰金刑を選択併科することはやむを得ないというべきであると判示して、罰金1200万円及び懲役6ヵ月(執行猶予2年間)を言い渡した。(2018.05.09大阪地裁判決、平成28年(わ)第4190号)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2019.08.26 16:09:35