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製品の共同開発契約に基づく負担金を繰延資産と認定、棄却

 製品の共同開発契約に基づいて支払った負担金が、役務の提供を受けるために支出する費用として支出の効果が1年以上に及ぶか否か、つまり繰延資産に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、支出の効果が支出日以後1年以上に及ぶものとは、費用収益対応の原則の下では、費用の支出が1年以上に及ぶ効果的な収益を発生させる性質を有するものと解するのが相当であることから繰延資産に該当すると判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、医薬品等の製造販売等を主たる目的とする法人が、医薬品に関する共同開発契約書に基づいて支払った負担金を試験研究費として法人税の所得の金額の計算上損金に算入して申告したのが発端。これに対して原処分庁が、負担金は繰延資産に該当すると認定して法人税等の更正処分等をしてきたことから、法人側が、更正処分等は法令の解釈及び適用を誤った違法なものであるなどと主張して、その一部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり法人側は、製品の共同開発契約に基づいて一方の契約当事者に支払った負担金について、その契約の製品に係る大臣の承認を得るために契約当事者から開示された資料等は共同開発の成果であって、請求人側が自己開発したものと同様である、また、その負担金の支出には、契約の製品に係る大臣の承認が得られないリスクがあり、その支出の効果がその後に及ぶものといえないことなどを理由に、負担金は繰延資産に該当しない旨主張して、原処分の一部取消しを求めたわけだ。

 これに対して裁決は、企業会計では費用収益対応の原則がとられ、法人税上も同原則が妥当すると解釈。その上で、負担金の対象となる各業務は契約当事者が担当する業務であり、殆どが契約の締結日までに完了していたことに加え、大臣承認の申請に必要なデータを契約当事者から取得し、契約の締結日から短期間で承認の申請をしていたことなどから、請求人を共同開発の主体と見ることはできず、負担金は契約当事者が開発の過程で得た成果の提供という役務の提供を受けるために支出する費用と認定した。

 加えて、製品は現に製造販売され、承認の取得後5年毎に大臣の調査が必要なことからすると、大臣承認を取得した効果は少なくとも5年は継続するということができるとも指摘。結局、負担金は役務の提供を受けるために支出する費用で、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものと認められることから繰延資産に該当すると判断、審査請求を棄却した。

                 (2018.10.10国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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3月31日更新

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 製品の共同開発契約に基づいて支払った負担金が、役務の提供を受けるために支出する費用として支出の効果が1年以上に及ぶか否か、つまり繰延資産に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、支出の効果が支出日以後1年以上に及ぶものとは、費用収益対応の原則の下では、費用の支出が1年以上に及ぶ効果的な収益を発生させる性質を有するものと解するのが相当であることから繰延資産に該当すると判断、審査請求を棄却した。 この事件は、医薬品等の製造販売等を主たる目的とする法人が、医薬品に関する共同開発契約書に基づいて支払った負担金を試験研究費として法人税の所得の金額の計算上損金に算入して申告したのが発端。これに対して原処分庁が、負担金は繰延資産に該当すると認定して法人税等の更正処分等をしてきたことから、法人側が、更正処分等は法令の解釈及び適用を誤った違法なものであるなどと主張して、その一部取消しを求めて審査請求したという事案である。 つまり法人側は、製品の共同開発契約に基づいて一方の契約当事者に支払った負担金について、その契約の製品に係る大臣の承認を得るために契約当事者から開示された資料等は共同開発の成果であって、請求人側が自己開発したものと同様である、また、その負担金の支出には、契約の製品に係る大臣の承認が得られないリスクがあり、その支出の効果がその後に及ぶものといえないことなどを理由に、負担金は繰延資産に該当しない旨主張して、原処分の一部取消しを求めたわけだ。 これに対して裁決は、企業会計では費用収益対応の原則がとられ、法人税上も同原則が妥当すると解釈。その上で、負担金の対象となる各業務は契約当事者が担当する業務であり、殆どが契約の締結日までに完了していたことに加え、大臣承認の申請に必要なデータを契約当事者から取得し、契約の締結日から短期間で承認の申請をしていたことなどから、請求人を共同開発の主体と見ることはできず、負担金は契約当事者が開発の過程で得た成果の提供という役務の提供を受けるために支出する費用と認定した。 加えて、製品は現に製造販売され、承認の取得後5年毎に大臣の調査が必要なことからすると、大臣承認を取得した効果は少なくとも5年は継続するということができるとも指摘。結局、負担金は役務の提供を受けるために支出する費用で、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものと認められることから繰延資産に該当すると判断、審査請求を棄却した。                 (2018.10.10国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2019.08.19 16:06:33