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審査申出後の請求の趣旨変更は許されると判示、控訴審に差戻し

 固定資産課税台帳に登録された建物の価格を不服として行った審査の申出が棄却されたため、その取消しを求めて最高裁まで争われてきた事件で最高裁(宮崎裕子裁判長)は、審査の申出を棄却する旨の決定を適法と判断した控訴審は、請求の趣旨変更に係る部分を不適法として却下するとともに、登録価格を審理判断することなく決定を適法と判断したものであり、判決に影響を及ぼす明らかな法令違反があると指摘して原審に差し戻した。

 この事件は、鉄骨・鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付き9階建事務所を所有する者が、都知事が決定した固定資産課税台帳に登録された建物の価格を不服として固定資産評価委員会に審査の申出をしたのがそもそもの発端。その結果、申出が棄却されたためその取消しを求めて提訴したところ、控訴審が申出の棄却を適法と判断したことから、上告して更にその取消しを求めてきたという事案である。

 建物の所有者側は、登録価格に経年減点補正率の適用に誤りがあるなどと主張して審査の申出をしたわけだが、その際、再建築費評点数の算出基礎とされた鉄筋及びコンクリートの使用量に誤りがある旨の主張をしなかったことから、1審敗訴後の控訴審では、その旨の主張を追加して、請求の趣旨変更を行った。

 これに対して控訴審は、主張追加に係る事由について固定資産評価審査委員会の審査決定を経ていないことに正当な理由があるとは認められず、その訴えのうち、請求の趣旨変更に係る部分は審査請求前置の要件を充足しないから不適法と判断した。

 しかし最高裁は、審査の際に主張しなかった事由でも、審査決定の取消訴訟の際に違法性を基礎付ける事由として追加主張することは許されるべきで、請求の趣旨変更が許されないと解すべき事情は存しないと判示。違法性を基礎付ける具体的な主張は単なる攻撃防御方法にすぎず、審査の際に主張しなかった違法事由を訴訟の際に主張することが地方税法434条2項等の趣旨に反するものともえないからだ。

 その上で、原審は請求の趣旨変更に係る部分を不適法として却下し、主張追加に係る事由によって、登録価格が評価基準によって決定される建物の価格を上回ることにならないか否かを審理判断することもなく、委員会の決定を適法と判断したものであり、その判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があることから、同判決の破棄は免れないと指摘した。その結果、更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻す旨の判決を言い渡した。

(2019.07.16最高裁第三小法廷判決、平成30年(行ヒ)第139号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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11月27日更新

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 固定資産課税台帳に登録された建物の価格を不服として行った審査の申出が棄却されたため、その取消しを求めて最高裁まで争われてきた事件で最高裁(宮崎裕子裁判長)は、審査の申出を棄却する旨の決定を適法と判断した控訴審は、請求の趣旨変更に係る部分を不適法として却下するとともに、登録価格を審理判断することなく決定を適法と判断したものであり、判決に影響を及ぼす明らかな法令違反があると指摘して原審に差し戻した。 この事件は、鉄骨・鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付き9階建事務所を所有する者が、都知事が決定した固定資産課税台帳に登録された建物の価格を不服として固定資産評価委員会に審査の申出をしたのがそもそもの発端。その結果、申出が棄却されたためその取消しを求めて提訴したところ、控訴審が申出の棄却を適法と判断したことから、上告して更にその取消しを求めてきたという事案である。 建物の所有者側は、登録価格に経年減点補正率の適用に誤りがあるなどと主張して審査の申出をしたわけだが、その際、再建築費評点数の算出基礎とされた鉄筋及びコンクリートの使用量に誤りがある旨の主張をしなかったことから、1審敗訴後の控訴審では、その旨の主張を追加して、請求の趣旨変更を行った。 これに対して控訴審は、主張追加に係る事由について固定資産評価審査委員会の審査決定を経ていないことに正当な理由があるとは認められず、その訴えのうち、請求の趣旨変更に係る部分は審査請求前置の要件を充足しないから不適法と判断した。 しかし最高裁は、審査の際に主張しなかった事由でも、審査決定の取消訴訟の際に違法性を基礎付ける事由として追加主張することは許されるべきで、請求の趣旨変更が許されないと解すべき事情は存しないと判示。違法性を基礎付ける具体的な主張は単なる攻撃防御方法にすぎず、審査の際に主張しなかった違法事由を訴訟の際に主張することが地方税法434条2項等の趣旨に反するものともえないからだ。 その上で、原審は請求の趣旨変更に係る部分を不適法として却下し、主張追加に係る事由によって、登録価格が評価基準によって決定される建物の価格を上回ることにならないか否かを審理判断することもなく、委員会の決定を適法と判断したものであり、その判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があることから、同判決の破棄は免れないと指摘した。その結果、更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻す旨の判決を言い渡した。(2019.07.16最高裁第三小法廷判決、平成30年(行ヒ)第139号)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2019.08.05 16:25:52