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節税封じの通達改正、適用時期は2段階

 国税庁はこのほど、定期保険・第三分野保険の法人税基本通達等を一部改正した。これは、解約を前提とした高い返戻率による節税効果を謳ったいわゆる節税保険を封じるべく、今年4月11日から5月1日にかけて募集していたパブリックコメントの結果を受けたもの。寄せられた意見をもとに、当初の改正案からの修正も盛り込まれている。

 今回改正されたのは、法人税基本通達9-3-4(養老保険に係る保険料)、同9-3-5(定期保険及び第三分野保険に係る保険料)、同9-3-5の2(定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い)、9-3-6(定期付養老保険等に係る保険料)、9-3-6の2(特約に係る保険料)、9-3-7(保険契約の転換をした場合)、9-3-7の2(払済保険へ変更した場合)。

 改正通達ではまず、これまで節税保険を規制する目的で発遣してきた5つの個別通達を廃止して改正通達へ編入。そして、法人税基本通達9-3-5の2を新設し、最高解約返戻率が50%を超えるものを3つに区分して、原則としてそれぞれの区分ごとに一定の割合を資産計上する(損金算入を制限する)こととした。

 また、パブリックコメントで示した通達改正案では、年換算保険料相当額が「20万円以下」の保険に係る保険料については期間の経過に応じて損金算入扱いとしていたところ、改正通達では「30万円以下」に修正されている。このほか、通達9-3-5において、「保険期間が終身である第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とする」とする内容も新たに加えられたものだ。

 この改正通達は、令和元年7月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険(9-3-5に定める解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険を除く)の保険料及び令和元年10月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険(9-3-5に定める解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険に限る)の保険料について適用。それぞれの日前の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料については、改正前の取扱いとされる。

 長年にわたり繰り返されてきた節税保険と国税当局のイタチごっこ。今回の通達改正で終止符が打たれるかどうかに強い関心が寄せられている。

法人税基本通達等の一部改正について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国税庁はこのほど、定期保険・第三分野保険の法人税基本通達等を一部改正した。これは、解約を前提とした高い返戻率による節税効果を謳ったいわゆる節税保険を封じるべく、今年4月11日から5月1日にかけて募集していたパブリックコメントの結果を受けたもの。寄せられた意見をもとに、当初の改正案からの修正も盛り込まれている。 今回改正されたのは、法人税基本通達9-3-4(養老保険に係る保険料)、同9-3-5(定期保険及び第三分野保険に係る保険料)、同9-3-5の2(定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い)、9-3-6(定期付養老保険等に係る保険料)、9-3-6の2(特約に係る保険料)、9-3-7(保険契約の転換をした場合)、9-3-7の2(払済保険へ変更した場合)。 改正通達ではまず、これまで節税保険を規制する目的で発遣してきた5つの個別通達を廃止して改正通達へ編入。そして、法人税基本通達9-3-5の2を新設し、最高解約返戻率が50%を超えるものを3つに区分して、原則としてそれぞれの区分ごとに一定の割合を資産計上する(損金算入を制限する)こととした。 また、パブリックコメントで示した通達改正案では、年換算保険料相当額が「20万円以下」の保険に係る保険料については期間の経過に応じて損金算入扱いとしていたところ、改正通達では「30万円以下」に修正されている。このほか、通達9-3-5において、「保険期間が終身である第三分野保険については、保険期間の開始の日から被保険者の年齢が116歳に達する日までを計算上の保険期間とする」とする内容も新たに加えられたものだ。 この改正通達は、令和元年7月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険(9-3-5に定める解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険を除く)の保険料及び令和元年10月8日以後の契約に係る定期保険又は第三分野保険(9-3-5に定める解約返戻金相当額のない短期払の定期保険又は第三分野保険に限る)の保険料について適用。それぞれの日前の契約に係る定期保険又は第三分野保険の保険料については、改正前の取扱いとされる。 長年にわたり繰り返されてきた節税保険と国税当局のイタチごっこ。今回の通達改正で終止符が打たれるかどうかに強い関心が寄せられている。
2019.07.03 15:59:19