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税務訴訟での納税者勝訴割合が前年の約3分の1に

 国税庁・国税不服審判所が公表した平成30年度の再調査の請求・審査請求、訴訟の概要によると、審査請求及び訴訟における納税者の救済、勝訴割合が低下したことがわかった。

 今年3月までの1年間の再調査の請求の発生件数は、法人税等や徴収関係が減少したものの、申告所得税等及び源泉所得税等、消費税等の税目などが増加したことを受けて、2043件と前年度に比べ12.6%増加して3年振りに2千件を超えている。

 処理件数は、前年度からの係属事案を含め「取下げ等」188件、「却下」149件、「棄却」1549件、「一部容認」237件、「全部容認」27件の合計2150件。納税者の主張が一部でも認められたのは合わせて264件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度と同様の12.3%となったが、全部取消件数は前年度の7割程度だった。

 国税不服審判所への審査請求の状況をみると、発生件数は、再調査の請求を経たものと直接審査請求を行ったものを合わせて3104件と前年度に比べて5.1%増加している。これは、申告所得税等及び法人税等の税目並びに徴収関係に係る件数が増加したことが要因。

 処理件数は、前年度からの係属事案を含め2923件で、その内訳は「取下げ」261件、「却下」136件、「棄却」2310件、「一部容認」139件、「全部容認」77件となっており、納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は7.4%と前年よりも0.8ポイント低下している。

 一方、訴訟の発生件数は181件と前年度と比べ9%減っている。訴訟の終結件数は、「取下げ等」16件、「却下」10件、「棄却」145件、「一部敗訴」3件、「全部敗訴」3件の合計177件。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は3.4%と前年度の10%を大きく下回り、審査請求同様に納税者には厳しい判断が下されている。

平成30年度における再調査の請求の概要について

平成30年度における審査請求の概要について

平成30年度における訴訟の概要について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国税庁・国税不服審判所が公表した平成30年度の再調査の請求・審査請求、訴訟の概要によると、審査請求及び訴訟における納税者の救済、勝訴割合が低下したことがわかった。 今年3月までの1年間の再調査の請求の発生件数は、法人税等や徴収関係が減少したものの、申告所得税等及び源泉所得税等、消費税等の税目などが増加したことを受けて、2043件と前年度に比べ12.6%増加して3年振りに2千件を超えている。 処理件数は、前年度からの係属事案を含め「取下げ等」188件、「却下」149件、「棄却」1549件、「一部容認」237件、「全部容認」27件の合計2150件。納税者の主張が一部でも認められたのは合わせて264件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度と同様の12.3%となったが、全部取消件数は前年度の7割程度だった。 国税不服審判所への審査請求の状況をみると、発生件数は、再調査の請求を経たものと直接審査請求を行ったものを合わせて3104件と前年度に比べて5.1%増加している。これは、申告所得税等及び法人税等の税目並びに徴収関係に係る件数が増加したことが要因。 処理件数は、前年度からの係属事案を含め2923件で、その内訳は「取下げ」261件、「却下」136件、「棄却」2310件、「一部容認」139件、「全部容認」77件となっており、納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は7.4%と前年よりも0.8ポイント低下している。 一方、訴訟の発生件数は181件と前年度と比べ9%減っている。訴訟の終結件数は、「取下げ等」16件、「却下」10件、「棄却」145件、「一部敗訴」3件、「全部敗訴」3件の合計177件。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は3.4%と前年度の10%を大きく下回り、審査請求同様に納税者には厳しい判断が下されている。
2019.06.25 16:19:12