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裁判によって受領した和解金を損害賠償金と認定、審査請求を棄却

 裁判上の和解に基づいて受領した解決金は益金に算入すべきものか、また株式の取得価額を減額すべきか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、和解に伴って受領した解決金は法人の不適切な会計処理に起因するもので、公開買付け等によって法人に生じた損害を役員らが連帯して支払った損害賠償金であると認定した上で益金の額に算入されるべきであると判断、法人側の審査請求を棄却した。

 この事件は、医療及びヘルスケア関連事業の営業、調査、マーケティングの支援等を目的とする法人が、裁判上の和解に基づいて受領した解決金を益金に算入するとともに同額を株式の評価損として損金に算入して法人税の申告をしたのが発端となった。

 これに対して原処分庁が株式の評価損を計上できる事実が生じていないことなどを理由に更正処分等をしてきたため、法人側が解決金を益金に算入した処理は誤りで、取得した株式の売買代金の返還として支払われたものであるから益金には算入されず、株式の取得価額を減額すべきであると主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり、株式を公開買付け等により取得した際に算定した株式の価額について不適切な会計処理があったことから過大に算定していたとして、法人の代表取締役らを相手に訴訟を提起後、裁判上の和解に基づいて受け取った解決金は公開買付け等により取得した株式の売買代金の減額調整金として支払われたものであるから、株式の取得価額を減額すべきである旨主張したわけだ。

 裁決はまず、和解調書の文言は解決金を支払うことになった理由を示したものであり、株式の売買代金の返還であるとの記載ではないと指摘するとともに、和解協議においても株式の売買代金の返還である旨の合意はされていないと指摘した。

 また、和解に至る経過等によれば、1)訴訟は損害賠償請求であり、2)代表取締役以外の株主にも取得した全ての株式の取得対価の過大支払額を損害額として請求するとともに、3)株式の取得対価とは異なる損害額(調査委員会費用、追加監査費用及び課徴金の損害額)も請求し、4)解決金の支払義務を負う者として代表取締役以外の役員も含まれ、5)実際にその役員も解決金の一部を支払っていることからすると法人の不適切な会計処理に起因し、公開買付け等により生じた損害を役員らが連帯して支払った損害賠償金と認められるため益金の額に算入されると判断して、棄却した。

                     (2018.09.12国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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6月19日更新

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2019.06.03 16:17:03