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相続開始後の建物収去費用等の負担も確実な債務と判断、一部取消し

 被相続人が生前にした借地契約の解除により相続人らが負うことになった建物収去と土地明渡の債務が債務控除の対象になるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、相続開始日に債務が現に存し、その履行が確実であったと認定するとともに、相続人らが別途依頼した他の業者が作成した見積書は経済合理性にかなうとも認定して、その見積書の金額をもって債務控除の対象となる金額とするのが相当と判断、原処分を一部取り消した。

 この事件は、相続した建物を収去して土地を明け渡す義務を履行するために負担した費用を債務控除していなかったこと、加えてその他の財産について過大申告の誤りがあったことなどを理由に相続人らが相続税の減額更正の請求をしたところ、原処分庁が一部の財産の価額は過大であったことを認めたものの、建物収去義務は相続開始後に確定したものであるから、確実と認められる債務には該当しないと判断して債務控除を否認、更正の請求の一部を認める内容の更正処分を行ってきたため、相続人らが原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、建物の収去義務は借地契約の終了に伴って発生した債務であるものの、相続開始日に必ずしも建物を収去する必要はなく、地主承継人に引き渡す方法の選択も可能であったと判断できることから、相続人らが建物を収去し、その費用総額を負担したことは相続後の事情というべきであると指摘した上で、建物の収去義務は履行が確実な債務とは認められないため、相続開始日における確実な債務であるとはいえないと主張して、審査請求の棄却を求めた。

 これに対して裁決はまず、債務が相続開始日に現に存し、その履行が確実な債務であったと認定。その上で、原処分庁の主張は確実な債務の履行手段であって、それは相続開始後の事情というほかないと指摘し、相続税法22条が「控除すべき債務の金額は、その時の現況による」旨規定している趣旨に照らせば、その主張は採用できないと斥けた。

 また、相続人らが負担した建物収去費用の根拠にした見積書も算定根拠が不正確、不明で、経済合理性を欠くと指摘。しかしながら、他方で請求人らが別途見積りを依頼した他の業者による見積書は詳細かつ正確であり、経済合理性にもかなうことから、その見積金額をもって債務の金額とするのが相当と判断して、原処分の一部を取り消した。

                 (2018.07.09国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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9月13日更新

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 被相続人が生前にした借地契約の解除により相続人らが負うことになった建物収去と土地明渡の債務が債務控除の対象になるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、相続開始日に債務が現に存し、その履行が確実であったと認定するとともに、相続人らが別途依頼した他の業者が作成した見積書は経済合理性にかなうとも認定して、その見積書の金額をもって債務控除の対象となる金額とするのが相当と判断、原処分を一部取り消した。 この事件は、相続した建物を収去して土地を明け渡す義務を履行するために負担した費用を債務控除していなかったこと、加えてその他の財産について過大申告の誤りがあったことなどを理由に相続人らが相続税の減額更正の請求をしたところ、原処分庁が一部の財産の価額は過大であったことを認めたものの、建物収去義務は相続開始後に確定したものであるから、確実と認められる債務には該当しないと判断して債務控除を否認、更正の請求の一部を認める内容の更正処分を行ってきたため、相続人らが原処分の一部取消しを求めて審査請求したという事案である。 原処分庁側は、建物の収去義務は借地契約の終了に伴って発生した債務であるものの、相続開始日に必ずしも建物を収去する必要はなく、地主承継人に引き渡す方法の選択も可能であったと判断できることから、相続人らが建物を収去し、その費用総額を負担したことは相続後の事情というべきであると指摘した上で、建物の収去義務は履行が確実な債務とは認められないため、相続開始日における確実な債務であるとはいえないと主張して、審査請求の棄却を求めた。 これに対して裁決はまず、債務が相続開始日に現に存し、その履行が確実な債務であったと認定。その上で、原処分庁の主張は確実な債務の履行手段であって、それは相続開始後の事情というほかないと指摘し、相続税法22条が「控除すべき債務の金額は、その時の現況による」旨規定している趣旨に照らせば、その主張は採用できないと斥けた。 また、相続人らが負担した建物収去費用の根拠にした見積書も算定根拠が不正確、不明で、経済合理性を欠くと指摘。しかしながら、他方で請求人らが別途見積りを依頼した他の業者による見積書は詳細かつ正確であり、経済合理性にもかなうことから、その見積金額をもって債務の金額とするのが相当と判断して、原処分の一部を取り消した。                 (2018.07.09国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2019.05.20 15:49:45