転リースも売買取引と認定して、原処分を全部取消し
設備の賃借取引が法人税法64条の2が定めるリース取引に該当するか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、設備の賃借及び転貸はいずれも法人税法上のリース取引に該当するため売買があったものとして処理すべきと指摘して、延払基準の方法により収益の額及び費用の額を計算するのが相当と判断、原処分を全部取り消す裁決を言い渡した。
この事件は、不動産管理業を営む法人がリース契約に基づいて支払ったリース料を損金に算入して法人税等の確定申告をしたのが発端。これに対して原処分庁が、リース契約に基づく取引は売買として取り扱われるリース取引に該当するため、そのリース契約に係る資産は減価償却資産であり、リース料のうち減価償却限度額を超える部分の金額は損金に算入されないなどと判断、申告内容を否認して法人税等の更正処分等を行ってきたため、法人側が原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。
原処分庁側が、設備を賃借する取引は法人税法上のリース取引(法法64の2③)に該当する旨主張したのも、リース期間内に解約できないことになっていたため中途解約禁止要件を充足する、またリース資産の取得のために通常要する価額のおおむね90%に相当する金額を超える、さらにリース取引は法人税法64条の2第3項に規定するフルペイアウト要件も充足する、という判断が働いたためだ。
裁決はまず、資産の賃貸借であり、中途解約禁止要件及びフルペイアウト要件も充足しているから法人税法上のリース取引に該当すると認められるものの、法人が更にリース資産をリース取引とほぼ同条件で転リースしているため、転リース取引も同様に法人税法上のリース取引に該当すると認定した。
そのため、リース取引のみならず、転リース取引についても売買があったものとして処理するのが相当であり、転リース取引に係る収益の額及び費用の額は、法人税基本通達2-4-2の2(売買があったものとされたリース取引)の取扱いにより、法人税法63条(長期割賦販売等に係る収益及び費用の帰属事業年度)第1項の延払基準の方法によって計算した収益の額及び費用の額になると指摘した上で、各事業年度の課税所得を計算することになると判断した。
つまり原処分庁側は、設備の賃借を売買取引、転貸を賃貸借取引と判断したわけだが、裁決はいずれも売買取引として処理すべきであると判断して、原処分庁側の主張を斥けたわけだ。
(2018.08.23国税不服審判所裁決)
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