HOME ニュース一覧 債権者代位権に基づく更正の請求は認められないと判断、棄却

税ニュース

債権者代位権に基づく更正の請求は認められないと判断、棄却

 更正の請求を提出することができる者の範囲が争われた事件で国税不服審判所は、更正の請求をすることができる者は納税申告書を提出した者に限られ、第三者が債権者代位権又は取消権の行使として更正の請求をすることはできないと判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、債権者(審査請求人)らが債務者に有する金銭債権を保全するため、原処分庁に対してその債務者が行った贈与税の申告について更正の請求をしたのが発端となった。

 これに対して原処分庁が、更正の請求をすることができるのは納税申告書を提出した者に限られると判断、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、債権者らが通知処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案で、債権者代位権又は取立権に基づいて更正の請求をすることができるか否かが争点の一つになった事案でもある。

 というのも、請求人らには、請求人らに金銭債務を有する債務者を相手に詐害行為取消権に基づき債務者の父親が土地を債務者に贈与した契約の取消しと、価格賠償を求める訴えを提起したところ、裁判所が請求人らの訴えを全て認める旨の判決をし、確定したという事情があったからだ。

 裁決はまず、民法423条1項のただし書きに触れ、債務者の一身に専属する権利は債権者代位の目的とならない旨を規定し、行使上の一身専属権(その権利の行使をするか否かが専ら債務者の意思のみに委ねられる権利)は代位権の目的から除外されていると指摘。

 また、贈与税の更正の請求は、納税申告書の提出者がその申告により確定した贈与税額の減額を税務署長に求める権利であるが、国税通則法23条1項が納税申告書の提出者は更正をすべき旨の請求をすることができる旨規定しており、更正の請求ができる者を納税申告書の提出者に限定していると解釈できることから、更正の請求をするか否かは納税申告書を提出した者の自由意思に委ねられているとも指摘した。

 その上で、更正の請求をする権利は納税申告書を提出した者に認められる行使上の一身専属権に当たるというべきであるという判断を示した。つまり、更正の請求をする権利は納税申告書を提出した者の行使上の一身専属権に当たり、民法423条1項ただし書きの規定からも債権者代位の目的から除外されることになるから、請求人らの主張には理由がないと判断して、審査請求を棄却した。

                          (18.06.22国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

この記事のカテゴリ

関連リンク

海外転勤での一時的出国でもNISA口座保有可能に

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


税ニュース
/news/tax/2019/img/img_kokuzeitsusoku_01_s.jpg
 更正の請求を提出することができる者の範囲が争われた事件で国税不服審判所は、更正の請求をすることができる者は納税申告書を提出した者に限られ、第三者が債権者代位権又は取消権の行使として更正の請求をすることはできないと判断、審査請求を棄却した。 この事件は、債権者(審査請求人)らが債務者に有する金銭債権を保全するため、原処分庁に対してその債務者が行った贈与税の申告について更正の請求をしたのが発端となった。 これに対して原処分庁が、更正の請求をすることができるのは納税申告書を提出した者に限られると判断、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、債権者らが通知処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案で、債権者代位権又は取立権に基づいて更正の請求をすることができるか否かが争点の一つになった事案でもある。 というのも、請求人らには、請求人らに金銭債務を有する債務者を相手に詐害行為取消権に基づき債務者の父親が土地を債務者に贈与した契約の取消しと、価格賠償を求める訴えを提起したところ、裁判所が請求人らの訴えを全て認める旨の判決をし、確定したという事情があったからだ。 裁決はまず、民法423条1項のただし書きに触れ、債務者の一身に専属する権利は債権者代位の目的とならない旨を規定し、行使上の一身専属権(その権利の行使をするか否かが専ら債務者の意思のみに委ねられる権利)は代位権の目的から除外されていると指摘。 また、贈与税の更正の請求は、納税申告書の提出者がその申告により確定した贈与税額の減額を税務署長に求める権利であるが、国税通則法23条1項が納税申告書の提出者は更正をすべき旨の請求をすることができる旨規定しており、更正の請求ができる者を納税申告書の提出者に限定していると解釈できることから、更正の請求をするか否かは納税申告書を提出した者の自由意思に委ねられているとも指摘した。 その上で、更正の請求をする権利は納税申告書を提出した者に認められる行使上の一身専属権に当たるというべきであるという判断を示した。つまり、更正の請求をする権利は納税申告書を提出した者の行使上の一身専属権に当たり、民法423条1項ただし書きの規定からも債権者代位の目的から除外されることになるから、請求人らの主張には理由がないと判断して、審査請求を棄却した。                          (18.06.22国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2019.03.18 16:16:17