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解体費用補助を受けた個人の課税関係

 国税庁はこのほど、被災した個人が市から家屋等の解体撤去費用の補助を受けた場合の課税関係についての文書回答事例を公開した。

 A市は、平成30年7月豪雨により半壊以上の被害を受けた市内の被災建造物等について、公費により解体、撤去及び処分を実施する制度を設けており、公費解体(被災建造物等の所有者が同市に撤去等を申請する場合)と、自費解体(被災建造物等の撤去等を自ら実施した者が、その撤去等に要した費用の償還を申請する場合)の2通りに対応している。照会はこれらにより受ける経済的利益の所得税の課税関係について確認したもの。

 所得税法では、資産に加えられた損害について支払いを受ける相当の見舞金等は非課税とされており、災害等の見舞金でその金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては課税しないものとされている。

 一方、環境省の「災害廃棄物対策指針(改訂版)」によれば、損壊家屋の撤去等は原則として所有者が実施することとされているが、倒壊のおそれがあるなど二次災害の起因となる損壊家屋等については、市町村の負担において撤去等を実施する場合があるとされている。

 本制度については、市が公費で行うことから所有者に経済的利益が生じるものと考えられるが、上記の通り、公費解体においてA市が被災建造物等の撤去等を実施することは社会通念上相当と認められ、被災建造物等の所有者である個人がA市から受ける経済的利益は、「資産に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金」に類するものとして非課税となるとした。

 自費解体については、申請者は必ずしも被災建造物等の所有者とは限らないが、A市のために立替払いした撤去等に係る費用を償還するものであるため課税関係は生じない。ただし雑損控除の災害関連支出の計算上は、自費解体申請者が支出した撤去等に係る費用のうち本件償還金相当額を控除した金額になるとした。

 国税庁は、この照会にかかる事実関係を前提に、照会者の意見の通りで差し支えないと回答した。

平成30年7月豪雨により被災した個人が市から家屋等の解体撤去費用の補助を受けた場合の課税関係について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 国税庁はこのほど、被災した個人が市から家屋等の解体撤去費用の補助を受けた場合の課税関係についての文書回答事例を公開した。 A市は、平成30年7月豪雨により半壊以上の被害を受けた市内の被災建造物等について、公費により解体、撤去及び処分を実施する制度を設けており、公費解体(被災建造物等の所有者が同市に撤去等を申請する場合)と、自費解体(被災建造物等の撤去等を自ら実施した者が、その撤去等に要した費用の償還を申請する場合)の2通りに対応している。照会はこれらにより受ける経済的利益の所得税の課税関係について確認したもの。 所得税法では、資産に加えられた損害について支払いを受ける相当の見舞金等は非課税とされており、災害等の見舞金でその金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては課税しないものとされている。 一方、環境省の「災害廃棄物対策指針(改訂版)」によれば、損壊家屋の撤去等は原則として所有者が実施することとされているが、倒壊のおそれがあるなど二次災害の起因となる損壊家屋等については、市町村の負担において撤去等を実施する場合があるとされている。 本制度については、市が公費で行うことから所有者に経済的利益が生じるものと考えられるが、上記の通り、公費解体においてA市が被災建造物等の撤去等を実施することは社会通念上相当と認められ、被災建造物等の所有者である個人がA市から受ける経済的利益は、「資産に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金」に類するものとして非課税となるとした。 自費解体については、申請者は必ずしも被災建造物等の所有者とは限らないが、A市のために立替払いした撤去等に係る費用を償還するものであるため課税関係は生じない。ただし雑損控除の災害関連支出の計算上は、自費解体申請者が支出した撤去等に係る費用のうち本件償還金相当額を控除した金額になるとした。 国税庁は、この照会にかかる事実関係を前提に、照会者の意見の通りで差し支えないと回答した。
2019.02.06 16:33:04