創設5年目の国外財産調書 東京局管内で75%
5千万円超の海外資産を持っている人に対し、財産の種類、数量、価額などを税務署に提出することを義務づけた国外財産調書について、国税庁は創設5年目となる2017年分の提出状況を公表した。それによると提出件数は、前年比4.9%増の9551件、国外財産の総合計は同11.0%増の3兆6662億円だった。初年度の提出件数は5539件、国外財産の総合計は2兆5142億円だったことから、提出件数、国外財産の総合計ともに右肩上がりで順調に伸びていることがわかる。
国税庁によると、提出者の地域別では、「東京局」が6154件で全体の64.4%を占めた。次いで「大阪局」1331件(同13.9%)、「名古屋局」699件(同7.3%)となり、この3局で85.6%を占めている。日本の富裕層が大都市圏に集中している結果となった。
財産総額についてはより顕著な結果となっている。東京局が2兆7485億円で、全体の75.0%を占め、大阪局(4274億円、同11.7%)、名古屋局(1906億円、同5.2%)の3局を合計すると9割強(91.9%)を占めている。
また、資産の内訳は「有価証券」が1兆9252億円で全体の52.5%を占めダントツ。「預貯金」6204億円(同16.9%)、「建物」4038億円(同11.0%)、「貸付金」1705億円(同4.7%)、「土地」1449億円(同4.0%)と続いた。
国外財産調書提出制度は、その年の12月31日時点で、その価額の合計額が5千万円を超える国外財産を有する居住者は、翌年3月15日までにその財産の種類や数量、価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、税務署長に提出しなければならないというものだ。国外財産調書は、自主的に自己の情報を記載し提出するものであることから、①加算税の軽減措置、②加算税の加重措置、③罰則の適用についてインセンティブ措置が設けられている。
提供元:エヌピー通信社