平成29年分の国外財産調書、9551人が提出
国税庁はこのほど、平成29年分の国外財産調書の提出状況を公表した。同調書は、近年、国外財産の保有が増加傾向にある中、国外財産に係る所得税や相続税の課税の適正化が喫緊の課題となっていることから、納税者が自ら国外財産保有状況について申告する仕組みとして創設され、平成26年1月(平成25年分)から施行されているもの。12月31日時点において合計5千万円超の国外財産を保有する居住者は、翌年3月15日までにその財産の種類、数量、価額等を記載して税務署長に提出しなければならない。
施行5年目となる平成29年分の同調書の提出状況によると、提出件数は9551件、総財産額は3兆6662億円だった。提出件数を国税局別にみると、東京局が6154件で全体の64.4%を占めており、大阪局1331件(13.9%)、名古屋局699件(7.3%)と続く。
総財産額も東京局が2兆7485億円(75%)と最も多く、次いで大阪局4274億円(11.7%)、名古屋局1906億円(5.2%)と、3局で全体の9割を超えている。申告財産を種類別にみると、有価証券が52.5%で最も多く、預貯金16.9%、建物11%、貸付金4.7%、土地4%と続く。
国外財産調書は自己の情報を自主的に提出するものであることから、適正な提出を確保するためにインセンティブ特例等が設けられている。国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても、調書が期限内に適正に提出されている場合には加算税を5%軽減。逆に、調書が適正に提出されていない場合には5%加重する。また故意の不提出や虚偽記載に対しては1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることとされている。
今回のまとめによると、平成29事務年度における所得税・相続税の実地調査の結果、本特例が適用された件数は、軽減措置が168件、加重措置が194件であった。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)