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マンション管理組合は人格のない社団と認して訴えを棄却

 建物の区分所有法に基づくマンションの区分所有者全員によって構成される団体が、法人税法上の人格のない社団に該当するか否か、また同団体が行うマンション敷地の賃貸が収益事業に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地方裁判所(谷口豊裁判長)は、権利能力のない社団つまり法人税法上の人格のない社団に該当し、不動産貸付業という収益事業を行っていると認めるのが相当であることから、賃貸収入については法人税を納付する義務があると判示して、訴えを却下、棄却した。

 この事件は、マンションの区分所有者全員によって構成される団体つまり管理組合が、マンションの共用部分及び敷地の一部を賃貸した収益に係る法人税及び復興特別法人税に関して、収益が各区分所有者に即時かつ最終的に帰属し、団体にはその収益に係る所得が生じていないという考えから、法人税並びに復興特別法人税について更正の請求をするとともに、更正の申出をしたのが発端となった。

 これに対して原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をするとともに、更正の申出については「更正の申出に対する結果のお知らせ」と題する書面をもって更正をすべき理由がない旨の通知をしてきたことから、団体側がその取消しを求めて提訴したという事案である。

 判決はまず、1)団体としての組織を備えて、2)組合員による多数決の原則が行われており、3)構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続するものと認められる、さらに4)代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していると指摘した上で、団体が権利能力のない社団つまり法人税法上の人格のない社団に当たると認定した。

 また、賃貸事業については、権利能力のない社団である団体が団体として行う活動としての実質を有するものといえるから、法人税法上、不動産貸付業という収益事業を行っていると認めるのが相当と指摘し、賃貸収入が構成員から分離されて、団体としての活動目的に沿うよう管理・保管されていることなども勘案すれば、団体の所得を構成するというべきであるという判断を示した。

 そうした判断の結果、団体は、賃貸収入による所得については法人税を納付する義務を負うことになると判示して、団体側の訴えを却下・棄却する判決を言い渡した。

                       (2018.03.13東京地方裁判所判決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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 建物の区分所有法に基づくマンションの区分所有者全員によって構成される団体が、法人税法上の人格のない社団に該当するか否か、また同団体が行うマンション敷地の賃貸が収益事業に該当するか否かの判断が争われた事件で東京地方裁判所(谷口豊裁判長)は、権利能力のない社団つまり法人税法上の人格のない社団に該当し、不動産貸付業という収益事業を行っていると認めるのが相当であることから、賃貸収入については法人税を納付する義務があると判示して、訴えを却下、棄却した。 この事件は、マンションの区分所有者全員によって構成される団体つまり管理組合が、マンションの共用部分及び敷地の一部を賃貸した収益に係る法人税及び復興特別法人税に関して、収益が各区分所有者に即時かつ最終的に帰属し、団体にはその収益に係る所得が生じていないという考えから、法人税並びに復興特別法人税について更正の請求をするとともに、更正の申出をしたのが発端となった。 これに対して原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をするとともに、更正の申出については「更正の申出に対する結果のお知らせ」と題する書面をもって更正をすべき理由がない旨の通知をしてきたことから、団体側がその取消しを求めて提訴したという事案である。 判決はまず、1)団体としての組織を備えて、2)組合員による多数決の原則が行われており、3)構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続するものと認められる、さらに4)代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していると指摘した上で、団体が権利能力のない社団つまり法人税法上の人格のない社団に当たると認定した。 また、賃貸事業については、権利能力のない社団である団体が団体として行う活動としての実質を有するものといえるから、法人税法上、不動産貸付業という収益事業を行っていると認めるのが相当と指摘し、賃貸収入が構成員から分離されて、団体としての活動目的に沿うよう管理・保管されていることなども勘案すれば、団体の所得を構成するというべきであるという判断を示した。 そうした判断の結果、団体は、賃貸収入による所得については法人税を納付する義務を負うことになると判示して、団体側の訴えを却下・棄却する判決を言い渡した。                       (2018.03.13東京地方裁判所判決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2019.01.21 16:08:46