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基準期間がない場合も納税義務は免除されないと判断、棄却

 「法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1000万円以下である場合」に、「その事業年度の基準期間がない」場合も含まれるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、その事業年度の基準期間がない法人が含まれるのは明らかで、新設法人の納税義務の免除の特例は適用されないと判断して審査請求を棄却した。

 この事件は、貴金属製品の加工・販売等を営む法人が、設立2年目の事業年度も消費税の納税義務が免除されると判断して、消費税等の確定申告書を提出しなかったところ、原処分庁が、設立2期目の事業年度の前事業年度開始の日以後6ヵ月の期間における課税売上高が1000万円を超えていることなどを理由に、消費税の納税義務は免除されないと判断、消費税等の決定処分等をしたのが発端。

 そこで法人側が、設立2期目の事業年度には基準期間が存在しないため、消費税の納税義務は免除されると主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 つまり法人側は、消費税法9条の2(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)の1項が法人のその事業年度の基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合と限定しており、その事業年度の基準期間がない場合は同項の適用がなく、新設法人の納税義務の免除の特例を定めた同法12条の2第1項の適用もないことから、消費税の納税義務はないと主張して、原処分の全部取消しを求めたわけだ。

 裁決は、事業者のうちその課税期間に係る基準期間の課税売上高が1000万円以下の者(消法9①)には、当然に、その事業年度の基準期間がない法人も含まれ、法人のその事業年度の基準期間における課税売上高が1000万円以下である場合(同法9の2①)も、同様に、その事業年度の基準期間がない場合が含まれると指摘。

 また、新設法人の納税義務の免除の特例(同法12の2①)の括弧書において、納税義務が免除されない課税期間が除かれていることからすると、新設法人の納税義務の免除の特例(同法12の2①)は、前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例(同9の2①)の適用対象に、その事業年度の基準期間がない法人が含まれることを前提に規定されているとも指摘した。

 その結果、前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例(同法9の2①)の適用対象に「その事業年度の基準期間がない法人」が含まれることは明らかであるから、同項の規定はその事業年度の基準期間がない場合にも適用があり、その適用がある場合は、新設法人の納税義務の免除の特例(同法12の2①)も適用されないことから、消費税の納税義務は免除されないと判断して、審査請求を棄却した。

        (2018.02.23国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2018.12.21 16:20:38