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税制改正大綱2019、「配偶者居住権」の評価額に関心

 さきごろ公表された与党の平成31年度税制改正大綱には、改正民法(相続法)を受けた措置が盛り込まれており多くの実務家から関心が寄せられている。

 とくに注目されているのは改正相続法で創設された「配偶者居住権」等の評価額の算定方法だ。配偶者居住権については、「建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率」。配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」)の所有権については「建物の時価-配偶者居住権の価額」とされた。

 配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利については「土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率」。居住建物の敷地の所有権等については「土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額」により算定することとされた。

 なお、配偶者居住権が設定された不動産は物納劣後財産(物納に充てることができる順位の低い財産)とされ、配偶者居住権の設定登記については登録免許税の課税対象とされた。

 また、相続法改正では舅姑など被相続人への無償の療養介護や労務提供を行った場合、相続人でなくても寄与分が認められるよう配慮され「特別寄与料の請求権」が創設されたが、大綱にはこの特別寄与料に係る課税についても盛り込まれている。

 具体的には、イ.特別寄与者が支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した場合には、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、相続税を課税する。ロ.上記イ.の事由が生じたため新たに相続税の申告義務が生じた者は、当該事由が生じたことを知った日から 10月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。ハ.相続人が支払うべき特別寄与料の額は、当該相続人に係る相続税の課税価格から控除する。ニ.相続税における更正の請求の特則等の対象に上記イ.の事由を加える、とするもの。

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 さきごろ公表された与党の平成31年度税制改正大綱には、改正民法(相続法)を受けた措置が盛り込まれており多くの実務家から関心が寄せられている。 とくに注目されているのは改正相続法で創設された「配偶者居住権」等の評価額の算定方法だ。配偶者居住権については、「建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率」。配偶者居住権が設定された建物(以下「居住建物」)の所有権については「建物の時価-配偶者居住権の価額」とされた。 配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利については「土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率」。居住建物の敷地の所有権等については「土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額」により算定することとされた。 なお、配偶者居住権が設定された不動産は物納劣後財産(物納に充てることができる順位の低い財産)とされ、配偶者居住権の設定登記については登録免許税の課税対象とされた。 また、相続法改正では舅姑など被相続人への無償の療養介護や労務提供を行った場合、相続人でなくても寄与分が認められるよう配慮され「特別寄与料の請求権」が創設されたが、大綱にはこの特別寄与料に係る課税についても盛り込まれている。 具体的には、イ.特別寄与者が支払いを受けるべき特別寄与料の額が確定した場合には、当該特別寄与者が、当該特別寄与料の額に相当する金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、相続税を課税する。ロ.上記イ.の事由が生じたため新たに相続税の申告義務が生じた者は、当該事由が生じたことを知った日から 10月以内に相続税の申告書を提出しなければならない。ハ.相続人が支払うべき特別寄与料の額は、当該相続人に係る相続税の課税価格から控除する。ニ.相続税における更正の請求の特則等の対象に上記イ.の事由を加える、とするもの。提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2018.12.19 16:31:39