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繰越控除の特例は申告書の連年提出が要件と判断、控訴を棄却

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 先物取引の差金等の決済に係る損失の繰越控除の適用の可否判断が争われた事件で東京高裁(中西茂裁判長)は、特例の適用を受けるためには、特例の適用を受ける年分の確定申告書を提出するまでに確定申告書の連年提出の要件が充足されていることが必要と判示、一審の判決内容を支持して、納税者側の請求を斥けた。

 この事件は、所得税等の確定申告書等を提出しその後修正申告書を提出した納税者が、その前年分の所得税に係る確定申告書等を提出期限後に提出するとともに、先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の特例が適用されるものと判断、外国為替証拠金取引(いわゆるFX取引)等に関して生じた先物取引の差金等決済に係る損失の金額を先物取引に係る雑所得の金額から控除して計算した更正の請求書を提出したのが発端となった。

 これに対して原処分庁が、措置法41条の15第3項の「連続して確定申告書を提出している場合」の要件を満たしていないと判断して特例の適用を否認、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、納税者側が提訴して通知処分の取消しを求めたところ、一審の東京地裁が、請求には理由がないとして棄却したため、納税者側が更にその取消しを求めて控訴したという事案である。

 控訴審はまず、控訴人の請求には理由がないから棄却すべきと判示した上で、この繰越控除の特例は、あくまで例外的、政策的な租税負担軽減の措置を認めるものであるから、確定申告書の連年提出の要件を充足しないまま、当年分の確定申告書等を提出したとしても特例の適用を受けることはできないと指摘。また、その確定申告書等に繰越損失額や先物取引に係る所得から差し引く損失額等の記載があったとしても、これによって先物取引に係る課税所得等の金額及びこれに課される所得税の額が確定するものとはいえないとも指摘した。

 結局、特例の適用を受けるために連続して確定申告書を提出するか否かについても、納税者の判断に委ねられているのであるから、その適用要件が充足されていない場合に、更に納税者の意思を慮って確定申告書の連年提出を促さなければならないものとは認められないし、要件を充足しない場合に特例の適用を受けられないことが不公平であるとか措置法の趣旨に反するものであるということはできないと判示して、納税者側の主張を斥けた。
 
 (2018.03.18東京高裁判決、平成29年(行コ)第344号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2018.12.10 16:04:01