消費増税 「2%値下げセール」はOK 反動減防止へ宣伝解禁
政府が来年10月の消費税増税時の価格設定に関するガイドラインをとりまとめた。「10月1日以降2%値下げ」など消費税と関連付けない表示であればセールを宣伝しても問題ないと明記した。増税後の一斉値上げで消費が冷え込んだ前回(2014年4月)の反省から、企業が増税前後に柔軟に価格設定できる環境を整え、増税前の駆け込み需要と増税後の反動減を抑える狙いがある。
税抜き価格の表示を認める特例は「特に変更はない」と確認。商品需要の高まる増税前の値上げは「自由な価格設定を何ら妨げるものではない」と容認した。
一方、「消費税還元セール」など、消費者が消費税を負担しなくていいと誤認させる表記はこれまで通り認めない。また、増税前に「今だけお得」と宣伝するのも景品表示法違反の恐れがあると警告した。増税後に国がポイント還元などの経済対策を講じる予定で「事実と異なる」(消費者庁幹部)可能性があるためという。
大手スーパーなどの小売りが、セールの原資を確保するため、取引先の中小企業に増税分のコスト負担を強制する行為は従来通り厳格に取り締まる。
政府は前回の増税時、下請けいじめへの懸念などから消費税還元セールを禁止する特措法を作った。大手小売りがこれに従い一斉に増税分を値上げした結果、駆け込み需要と反動減を招いたとの指摘がある。
日本の消費税に当たる付加価値税を導入している欧州では、増税の際、どの時期にいくら値上げするかは企業の判断に任せており、増税前後で極端に消費が変動していない。政府は欧州の事例を参考にしたガイドラインを企業に周知する。
提供元:エヌピー通信社