換価代金等の配当処分の取消請求に正当な理由の適用を否定
不服申立ての期限の特例の適用がある換価代金等の配当処分の取消しを求めた審査請求の場合も、不服申立期間の延長を定めた国税通則法77条1項のただし書き、つまり正当な理由の適用があるかどうかの判断が争われた審査請求事件で国税不服審判所は、換価代金等の配当処分に関して欠陥があることを理由とした審査請求には同条同項ただし書きの「正当な理由があるとき」の適用はないと解するのが相当であり、法定の不服申立てができる期限を経過した違法なものと判断して、却下した。
この事件は、換価代金等の配当処分の全部取消しを求めて審査請求されたものだが、不服申立てができる期限を経過してからの審査請求だったため、不服申立ての期限を徒過したことについては正当な理由がある旨主張して、取消しを求めたという事案である。
滞納処分に対する換価は、差押えに係る国税を徴収するために、債権者である国が差し押さえた財産を強制的に金銭に換えることで、通常は差押財産の売却を指すが、広義の換価には、債権、有価証券、無体財産権等の金銭による取立ても含まれる。
一方、不服申立期間を定めた国税通則法77条1項は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月を経過した時は不服申立てができない旨を定め、同項のただし書きは、正当な理由がある時はその限りでない旨を規定している。また、滞納処分に関する不服申立等の期限の特例を定めた国税徴収法171条1項4号は、換価代金等の配当処分に関して欠陥があることを理由にした不服申立ては、国税通則法77条の規定にかかわらず、換価代金等の交付期日までにしなければならない旨を定めている。
そこで裁決は、同特例が定められた趣旨は滞納処分手続の安定を図り、かつ換価手続により権利を取得し、又は利益を受けた者の権利、利益を保護しようとすることにあることから、換価代金等の配当処分に欠陥があることを理由にした不服申立てには、通則法77条1項のただし書きの適用はないと解するのが相当と指摘。
その上で、請求人による審査請求は、その配当処分に係る換価代金等の交付期日を経過した後のことであるから、通則法77条1項のただし書きが定める正当な理由の有無にかかわらず、法定の不服申立期限を経過した後にされた不適法なものである判断、却下した。
(2017.12.06国税不服審判所裁決)
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