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金地金の密輸に絡む関税法違反事件で、被告人の控訴を棄却

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 金地金の密輸に伴う関税法・消費税法・地方税法違反に問われた事件の控訴審で福岡高裁(山口雅髙裁判長)は、原判決の認定に論理則・経験則に反するものはないと指摘するとともに、執行猶予5年、罰金150万円とした量刑は刑期、罰金額のいずれの点からも重すぎるとはいえないと判示して、被告人側の控訴を棄却した。

 この事件は、被告人の中国人と日本人が共謀し、東シナ海公海上で、金地金を国籍不明の船舶から密輸用の船舶に積み替え、佐賀県唐津市の岸壁で陸揚げして無許可で貨物を輸入、不正の行為により消費税及び地方消費税を免れていたことが発覚して刑事事件として告発されていたもの。

 具体的には、205キログラム余の金地金を日本国内の岸壁に接岸させて陸揚げすることにより無許可で金地金を輸入し、不正の行為により消費税5800万円余及び地方消費税1500万円余を免れたという事案である。

 その結果、原審の佐賀地裁は金地金の没収に加え、懲役2年6月、執行猶予5年、罰金刑を150万円とする判決を言い渡した。そこで被告人側が、金地金の密輸が水際で阻止され、現実には脱税による利益が発生していないにもかかわらず、罰金以外に脱税額の何倍もの金地金を没収されたため、懲役刑の刑期及び罰金刑の金額がいずれも重すぎて不当であるという考えから控訴して、その見直しを求めたというわけだ。

 控訴審はまず、被告人らが脱税による利益を得ていないからといって金地金の没収が直ちに所有者にとって不当に過酷な処分になるとはいえず、没収を命じた原判決が裁量を逸脱したものとはいえないと判示。また、一連の金地金の密輸において被告人は中心人物として重要な役割を果たしていたと認定するとともに、被告人に対する量刑は密輸で果たした役割に照らし、懲役刑の執行を猶予したことにおいて軽きに失しているといわざるを得ないとも指摘した。

 その結果、被告人に日本国内での犯罪歴がないことなど、記録から伺える被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、犯行における立場及び役割に照らせば、原判決の量刑は、懲役刑の刑期の点からも、また罰金刑の金額の点からも、重すぎて不当であるとは言えないと判示して棄却した。

      (2018.09.05宣告 福岡高裁第一刑事部判決、平成30年(う)第166号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 金地金の密輸に伴う関税法・消費税法・地方税法違反に問われた事件の控訴審で福岡高裁(山口雅髙裁判長)は、原判決の認定に論理則・経験則に反するものはないと指摘するとともに、執行猶予5年、罰金150万円とした量刑は刑期、罰金額のいずれの点からも重すぎるとはいえないと判示して、被告人側の控訴を棄却した。 この事件は、被告人の中国人と日本人が共謀し、東シナ海公海上で、金地金を国籍不明の船舶から密輸用の船舶に積み替え、佐賀県唐津市の岸壁で陸揚げして無許可で貨物を輸入、不正の行為により消費税及び地方消費税を免れていたことが発覚して刑事事件として告発されていたもの。 具体的には、205キログラム余の金地金を日本国内の岸壁に接岸させて陸揚げすることにより無許可で金地金を輸入し、不正の行為により消費税5800万円余及び地方消費税1500万円余を免れたという事案である。 その結果、原審の佐賀地裁は金地金の没収に加え、懲役2年6月、執行猶予5年、罰金刑を150万円とする判決を言い渡した。そこで被告人側が、金地金の密輸が水際で阻止され、現実には脱税による利益が発生していないにもかかわらず、罰金以外に脱税額の何倍もの金地金を没収されたため、懲役刑の刑期及び罰金刑の金額がいずれも重すぎて不当であるという考えから控訴して、その見直しを求めたというわけだ。 控訴審はまず、被告人らが脱税による利益を得ていないからといって金地金の没収が直ちに所有者にとって不当に過酷な処分になるとはいえず、没収を命じた原判決が裁量を逸脱したものとはいえないと判示。また、一連の金地金の密輸において被告人は中心人物として重要な役割を果たしていたと認定するとともに、被告人に対する量刑は密輸で果たした役割に照らし、懲役刑の執行を猶予したことにおいて軽きに失しているといわざるを得ないとも指摘した。 その結果、被告人に日本国内での犯罪歴がないことなど、記録から伺える被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、犯行における立場及び役割に照らせば、原判決の量刑は、懲役刑の刑期の点からも、また罰金刑の金額の点からも、重すぎて不当であるとは言えないと判示して棄却した。      (2018.09.05宣告 福岡高裁第一刑事部判決、平成30年(う)第166号)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2018.10.15 16:14:56