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国交省、「所有者不明土地」問題を税で解決

 「所有者不明土地」の増加が社会問題になる中、国土交通省が税制面からの対応に乗り出した。所有者不明土地については、これを円滑に利用する仕組みとして「土地収用法の特例」、「地域福利増進事業」が創設されたところだが、これを受けて国交省は、平成31年度税制改正要望に「所有者不明土地に係る土地収用法の特例の創設に伴う所要の措置」、「地域福利増進事業に係る特例措置の創設」を盛り込んだ。

 土地収用法の特例の創設に伴う所要の措置では、1)同特例により事業地が収用された場合に、所有者の譲渡所得(長期・短期)に係る課税について、税率軽減、重課の適用除外等の特例措置を講じる、2)同特例により事業地が収用され、代替資産を取得した場合の譲渡の扱いについて、補償金等の額が代替資産の取得価額を上回る部分について譲渡があったものとする(所得税)、代替資産について帳簿価額の減額等をしたときは減額分等を損金に算入する(法人税)等の特例措置を講じる。

 さらに、3)土地収用法の特例により事業地が収用された場合に、所有者の譲渡所得から5000万円を控除する、4)同特例により事業地が収用された後の特別勘定を設けて一定期間内に代替資産を取得する見込みである場合、譲渡益に相当する金額を損金に算入することなどを要望した。

 また、地域福利増進事業に係る特例措置の創設では、当該事業のために事業区域内の土地等を譲渡した場合に、その土地等の譲渡所得に係る1500万円特別控除を創設するとした。

 近年、人口減少や高齢化の進展を背景に「所有者不明土地」が急増。公共事業の推進等さまざまな場面で所有者特定等のため多大なコストを要するなど、円滑な事業実施への支障となっている。国交省要望の税制措置による問題解決の加速化が期待されている。

平成31年度国土交通省税制改正要望事項について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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 「所有者不明土地」の増加が社会問題になる中、国土交通省が税制面からの対応に乗り出した。所有者不明土地については、これを円滑に利用する仕組みとして「土地収用法の特例」、「地域福利増進事業」が創設されたところだが、これを受けて国交省は、平成31年度税制改正要望に「所有者不明土地に係る土地収用法の特例の創設に伴う所要の措置」、「地域福利増進事業に係る特例措置の創設」を盛り込んだ。 土地収用法の特例の創設に伴う所要の措置では、1)同特例により事業地が収用された場合に、所有者の譲渡所得(長期・短期)に係る課税について、税率軽減、重課の適用除外等の特例措置を講じる、2)同特例により事業地が収用され、代替資産を取得した場合の譲渡の扱いについて、補償金等の額が代替資産の取得価額を上回る部分について譲渡があったものとする(所得税)、代替資産について帳簿価額の減額等をしたときは減額分等を損金に算入する(法人税)等の特例措置を講じる。 さらに、3)土地収用法の特例により事業地が収用された場合に、所有者の譲渡所得から5000万円を控除する、4)同特例により事業地が収用された後の特別勘定を設けて一定期間内に代替資産を取得する見込みである場合、譲渡益に相当する金額を損金に算入することなどを要望した。 また、地域福利増進事業に係る特例措置の創設では、当該事業のために事業区域内の土地等を譲渡した場合に、その土地等の譲渡所得に係る1500万円特別控除を創設するとした。 近年、人口減少や高齢化の進展を背景に「所有者不明土地」が急増。公共事業の推進等さまざまな場面で所有者特定等のため多大なコストを要するなど、円滑な事業実施への支障となっている。国交省要望の税制措置による問題解決の加速化が期待されている。
2018.09.12 16:44:16