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原審の主たる事業の判断手法は合理的と判断、国側主張を棄却

法人税 判例

 海外子会社の主たる事業が株式の保有か、また主たる事業が卸売業に該当するか否か、つまりタックスヘイブン税制の適用除外要件の判断が争われた事件で名古屋高裁(孝橋宏裁判長)は、原審判決における主たる事業の判断手法は合理的と判断、法人側の主張を一部認容した原審の取消しを求めて控訴した国側の主張を棄却した。

 この事件は、内国法人がした法人税の確定申告に対し、原処分庁がタックスヘイブン税制(平成21年改正前の措法66の①)により、海外子会社の課税対象留保金額に相当する金額が益金に算入されると認定、法人税の更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたのが発端となった。

 そこで、各更正処分のうち内国法人が主張する金額を超える部分の取消等を求めて法人側が提訴したわけだが、原審の名古屋地裁は、海外子会社の主たる事業は地域統括事業であり、株式の保有を主たる事業としていたとはいえないから事業基準を満たしていると判断、法人側の主張を一部認容するとともに、国側の主張を棄却したため、国側が原審の取消しを求めて控訴したという事案で、タックスヘイブン税制の適用除外基準を満たすか否かが争点になったものである。

 控訴審は、特定外国子会社等の主たる事業の判定は、それぞれの事業活動の客観的な結果として得られた収入金額等、それぞれの事業活動に要する使用人の数、事務所、店舗、工場その他の固定施設の状況等の具体的な事業活動の内容を総合的に勘案して判断すべきであり、外国子会社等の主たる事業が株式の保有であるか否かを判定する際は、所得に占める受取配当の割合のみを重視することは相当ではないと指摘した。

 また、外国子会社等の収益が被統括会社からの配当に依存していたとしても、それが経済的合理性を有する地域統括事業の結果であり、株式保有が地域統括事業を推進するための手段に過ぎないと認められる場合は、株式保有業ではなく、地域統括事業がその外国子会社の主たる事業と認定すべきであるという考えを示した。

 その結果、原審判決は地域統括事業の具体的な事業内容、結果等を認定した上で、地域統括事業が実体を備えているか、事業活動を行うことに十分な経済的合理性があるか否か等の観点から、主たる事業が地域統括事業であると判断したのであるから、その判断手法は合理的なものであると認定。結局、控訴審も法人側の主張には理由があると判断、国側の主張を棄却する旨の判決を言い渡した。
 
            (2017.10.18名古屋高裁判決、平成39年(行コ)第19号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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2018.09.10 16:18:32