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相続株の税優遇 金融庁が期限撤廃を要望 「貯蓄から資産形成」路線堅持

 金融庁は今年度の税制改正要望で、個人投資家が相続で取得した株式を長期にわたって保有できるよう、制度の見直しを財務省に求めた。税優遇の期限(3年)をなくすもので、森信親前長官が強力に推進した「貯蓄から資産形成へ」という路線を堅持する。
 親から子どもが上場株式を受け継ぐと、相続した時期の株価に応じて相続税がかかる。現在は相続から3年以内であれば、売却益から相続税分を差し引くことができる特例措置がある。しかし3年を超えてから株式を売り払うと、相続税分は減免されず、所得税も含めて重い負担が生じることになり、相続人が慌てて株式を手放す人が多かった。世代を超えた資産形成を後押ししたい金融庁は、かねて「税負担を少しでも和らげたい個人を焦らせ、株式売却を助長している」(幹部)と頭を悩ませてきた。
 国税庁によると、2016年の相続財産は約15兆8000億円と21年ぶりの高水準だった。このうち有価証券は約2兆3000億円で、土地(約6兆円)と現金・預貯金(約5兆円)に次いで多かった。売却の期限がなくなれば、個人は株式を手放すかどうか、タイミングも含めてじっくり検討することが可能になる。世代を超えて株式を長期間保有するケースが増えることが想定される。
 「同志」もいる。本来は監督の対象であるはずの銀行業界だ。全国銀行協会も7月、高齢者が手持ちの上場株式を子どもや孫へ生前贈与する場合に税制を優遇するように求めた。「上場株式等が相続前後に現預金にシフトする傾向を抑制し、世代を超えた中長期的なリスクマネーの確保につながる」とメリットを説明している。

提供元:エヌピー通信社

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 金融庁は今年度の税制改正要望で、個人投資家が相続で取得した株式を長期にわたって保有できるよう、制度の見直しを財務省に求めた。税優遇の期限(3年)をなくすもので、森信親前長官が強力に推進した「貯蓄から資産形成へ」という路線を堅持する。 親から子どもが上場株式を受け継ぐと、相続した時期の株価に応じて相続税がかかる。現在は相続から3年以内であれば、売却益から相続税分を差し引くことができる特例措置がある。しかし3年を超えてから株式を売り払うと、相続税分は減免されず、所得税も含めて重い負担が生じることになり、相続人が慌てて株式を手放す人が多かった。世代を超えた資産形成を後押ししたい金融庁は、かねて「税負担を少しでも和らげたい個人を焦らせ、株式売却を助長している」(幹部)と頭を悩ませてきた。 国税庁によると、2016年の相続財産は約15兆8000億円と21年ぶりの高水準だった。このうち有価証券は約2兆3000億円で、土地(約6兆円)と現金・預貯金(約5兆円)に次いで多かった。売却の期限がなくなれば、個人は株式を手放すかどうか、タイミングも含めてじっくり検討することが可能になる。世代を超えて株式を長期間保有するケースが増えることが想定される。 「同志」もいる。本来は監督の対象であるはずの銀行業界だ。全国銀行協会も7月、高齢者が手持ちの上場株式を子どもや孫へ生前贈与する場合に税制を優遇するように求めた。「上場株式等が相続前後に現預金にシフトする傾向を抑制し、世代を超えた中長期的なリスクマネーの確保につながる」とメリットを説明している。提供元:エヌピー通信社
2018.08.31 09:11:36