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財務省人事 「誤報」連発の裏に… 麻生氏が見せた“迷い“

 財務省の事務次官などの幹部人事が7月27日、公表された。今回の人事を巡っては、報道各社で異なる人物を「次官就任の方針」と報じる、過去に例のない(財務省関係者)乱戦となった。背景には、人事権者の麻生太郎大臣の“迷い“がある。
 次官人事報道は、まず産経新聞が6月2日、星野次彦主税局長を充てる方針を固めたと報じて本格化。朝日、読売新聞も追随した。ところが、今度は日経新聞が6月10日、浅川雅嗣財務官が次官に就くと報道。さらに、毎日新聞が岡本薫明・前主計局長が「次官昇格で調整」と報じた。その後、各紙とも岡本氏に修正する報道を流し、発表の日を迎えた。
 報道が乱れ飛んだ背景には、前任の福田淳一氏がセクハラ問題で辞任した経緯から注目が高かったことに加え、もともと次官本命とされていた岡本氏が文書改ざんで文書厳重注意処分を受けた事情がある。
 わが道を行くように見える麻生氏も、さすがに改ざんで処分を受けた岡本氏の起用は世論の反発を受けると考え、当初は改ざん問題と無縁の星野氏や浅川氏の起用を検討した。それが漏れ伝わり、各紙の報道につながったのだ。
ただ、年次や経歴を重んじる財務省や官邸の官僚らが、イレギュラーな人事は思いとどまるよう説得し、麻生氏も最終的には岡本氏起用に傾き、報道を急いだ社は「誤報」に泣いた。
 27日の記者会見で麻生氏は岡本氏を「これまで組織の中核を担ってきており、ふさわしい。今後の財務省の利益を考えた時(、処分を)補って余りあるものがある」とかばって見せた。だが、次官など幹部候補を早々に絞り込む、柔軟性に欠けた財務省の人事育成システムでは、他に選択肢が無かったのが実情だ。「この布陣で信頼回復が図れるのか」と省内でも疑問視する声が出ている。
 ちなみに、今回の人事では、次官級ポストの国税庁長官や財務官を巡っても誤報が流れた。次官を含めて人事報道が乱れ飛ぶ中で祝電や花束が贈られたが、結局、その通りに処遇されなかった人もおり、後味の悪い結果になった。

提供元:エヌピー通信社

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 財務省の事務次官などの幹部人事が7月27日、公表された。今回の人事を巡っては、報道各社で異なる人物を「次官就任の方針」と報じる、過去に例のない(財務省関係者)乱戦となった。背景には、人事権者の麻生太郎大臣の“迷い“がある。 次官人事報道は、まず産経新聞が6月2日、星野次彦主税局長を充てる方針を固めたと報じて本格化。朝日、読売新聞も追随した。ところが、今度は日経新聞が6月10日、浅川雅嗣財務官が次官に就くと報道。さらに、毎日新聞が岡本薫明・前主計局長が「次官昇格で調整」と報じた。その後、各紙とも岡本氏に修正する報道を流し、発表の日を迎えた。 報道が乱れ飛んだ背景には、前任の福田淳一氏がセクハラ問題で辞任した経緯から注目が高かったことに加え、もともと次官本命とされていた岡本氏が文書改ざんで文書厳重注意処分を受けた事情がある。 わが道を行くように見える麻生氏も、さすがに改ざんで処分を受けた岡本氏の起用は世論の反発を受けると考え、当初は改ざん問題と無縁の星野氏や浅川氏の起用を検討した。それが漏れ伝わり、各紙の報道につながったのだ。ただ、年次や経歴を重んじる財務省や官邸の官僚らが、イレギュラーな人事は思いとどまるよう説得し、麻生氏も最終的には岡本氏起用に傾き、報道を急いだ社は「誤報」に泣いた。 27日の記者会見で麻生氏は岡本氏を「これまで組織の中核を担ってきており、ふさわしい。今後の財務省の利益を考えた時(、処分を)補って余りあるものがある」とかばって見せた。だが、次官など幹部候補を早々に絞り込む、柔軟性に欠けた財務省の人事育成システムでは、他に選択肢が無かったのが実情だ。「この布陣で信頼回復が図れるのか」と省内でも疑問視する声が出ている。 ちなみに、今回の人事では、次官級ポストの国税庁長官や財務官を巡っても誤報が流れた。次官を含めて人事報道が乱れ飛ぶ中で祝電や花束が贈られたが、結局、その通りに処遇されなかった人もおり、後味の悪い結果になった。提供元:エヌピー通信社
2018.08.03 09:02:44