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居住者である時の新株予約権の権利行使益は租税協定の適用外と判断、棄却

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 特定株式の移転に係るみなし譲渡益のうち新株予約権の行使に伴う権利行使益が租税協定を締結している相手国に課税権があるのか、国内源泉所得として日本国で課税を受けるのかの判断が争われた事件で国税不服審判所は、日本国の居住者であった時に新株予約権を行使したことにより生じた権利行使益は租税協定による制限を受けず、国内源泉所得として課税を受けることになると判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人が日本の居住者として税制適格ストックオプションの権利行使によって取得した株式を、K国(租税協定の締結国)に出国後に、保管口座を移管したことによるみなし譲渡に係る譲渡所得について確定申告をした後、その譲渡所得は日本国とK国との租税協定によって日本国に課税権がないと考え、更正の請求をしたのが発端。これに対して原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしてきたことから、その全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 請求人側は、新株予約権の行使により取得した株式に係る租税特別措置法29条の2(特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等)により譲渡とみなされるもの(同条④、みなし譲渡益)のうち経済的利益(同条①、権利行使益)についてはみなし譲渡の全てが株式の保有によって生じた値上益、すなわち株式譲渡益と考えるのが相当であり、また、特定株式の移転の日においてK国の居住者であるから、権利行使益には日本国とK国との租税協定が適用され、K国に課税権がある旨主張して、原処分の全部取消しを求めた。

 しかし裁決は、国内法上の課税関係に触れ、みなし譲渡に係る譲渡所得は、所得税法161条1号(国内源泉所得)が定める資産の譲渡により生ずる国内源泉所得であるから、その全体に15%の税率が適用される分離課税の対象になると指摘(措法37の12①)。

 その上で、みなし譲渡に係る譲渡所得のうち権利行使益は、請求人が内国法人から付与を受けた新株予約権を日本の居住者である時に行使した結果生じたものであり、権利行使益に係る日本国の課税権は租税協定による制限を受けないことになるから分離課税の対象になると判断。結局、権利行使益は国内法に基づき、国内源泉所得として日本国で課税を受けることになるとして、棄却した。

    (2017.08.22国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2018.05.14 16:21:14