HOME ニュース一覧 成人年齢引き下げ 施行時期は2022年4月 相続対策に影響あり

税ニュース

成人年齢引き下げ 施行時期は2022年4月 相続対策に影響あり

 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が、4月24日午後の衆院本会議で審議入りした。立憲民主党など6野党は安倍政権の不祥事追及などを理由に国会を欠席したが、与党は審議をそのまま進め、今国会での成立と、2022年4月の施行を目指す。成人年齢が18歳に引き下げられると、民法や税法など多くの分野に影響が及ぶことになる。
 民法改正案は、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げ、併せて現在16歳となっている女性の結婚可能年齢を18歳に引き上げて男性とそろえるというもの。現行制度で20歳を基準に定められている他の法律についても見直しを検討するが、18歳に統一することはせず、それぞれの事情を考慮するという。
 具体的に、現在20歳となっているが改正後18歳で可能となるのは、①車や携帯電話の購入などの単独での契約、②親の同意のないローン契約、③税理士や公認会計士になること、④10年有効のパスポートをとること、⑤性別変更の申し立て、⑥民事裁判の単独提訴――など。
 一方、民法改正後でも20歳にならないとできないのは、①飲酒や喫煙、②養子の親となること、③馬券などの購入――などとなっている。現在20歳未満に適用されている少年法が18歳未満に変更されるかどうかは検討中だ。
 税制でも、相続人に関する規定などで成人年齢である20歳を基準としているものがあり、それらは民法改正に合わせて18歳を基準とするよう改められる見通しだ。
 20歳を境界線にしている代表的な税制としては、相続税の「未成年者控除」がある。財産の取得時に相続人が20歳未満であれば税額を控除できるというもので、満20歳になるまでの年数1年につき10万円が差し引けるため、成人年齢が2歳引き下げられると、これまでより控除できる額が減ることになる。
 また親や祖父母からの贈与について2500万円までを贈与税から控除できる「相続時精算課税」も、受贈者の年齢について20歳以上という要件を定めているが、これも18歳以上に改められる見通しだ。改正後は同制度を2年早く利用することができるため、生前贈与を含めた相続税対策に影響を及ぼしそうだ。
 改正民法が成立すれば、成人年齢の見直しは1876(明治9)年以来約140年ぶりとなる。時代の変化に合わせるため、近年では契約に関する規定や遺産分割ルールなど民法の大改正が相次いでいるが、それぞれ施行時期が異なるので気を付けたい。現国会で成立予定の遺産分割ルールは早ければ2019年から、すでに法成立している契約に関するルールは20年から、成人年齢の引き下げは22年施行の予定となっている。

提供元:エヌピー通信社

この記事のカテゴリ

関連リンク

ソフトバンク939億円申告漏れ タックスヘイブンに利益移転 子会社の”税逃れ”に気付かず

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


税ニュース
/news/tax/2018/img/img_zeisei_02_s.jpg
 成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案が、4月24日午後の衆院本会議で審議入りした。立憲民主党など6野党は安倍政権の不祥事追及などを理由に国会を欠席したが、与党は審議をそのまま進め、今国会での成立と、2022年4月の施行を目指す。成人年齢が18歳に引き下げられると、民法や税法など多くの分野に影響が及ぶことになる。 民法改正案は、成人年齢を現行の20歳から18歳に引き下げ、併せて現在16歳となっている女性の結婚可能年齢を18歳に引き上げて男性とそろえるというもの。現行制度で20歳を基準に定められている他の法律についても見直しを検討するが、18歳に統一することはせず、それぞれの事情を考慮するという。 具体的に、現在20歳となっているが改正後18歳で可能となるのは、①車や携帯電話の購入などの単独での契約、②親の同意のないローン契約、③税理士や公認会計士になること、④10年有効のパスポートをとること、⑤性別変更の申し立て、⑥民事裁判の単独提訴――など。 一方、民法改正後でも20歳にならないとできないのは、①飲酒や喫煙、②養子の親となること、③馬券などの購入――などとなっている。現在20歳未満に適用されている少年法が18歳未満に変更されるかどうかは検討中だ。 税制でも、相続人に関する規定などで成人年齢である20歳を基準としているものがあり、それらは民法改正に合わせて18歳を基準とするよう改められる見通しだ。 20歳を境界線にしている代表的な税制としては、相続税の「未成年者控除」がある。財産の取得時に相続人が20歳未満であれば税額を控除できるというもので、満20歳になるまでの年数1年につき10万円が差し引けるため、成人年齢が2歳引き下げられると、これまでより控除できる額が減ることになる。 また親や祖父母からの贈与について2500万円までを贈与税から控除できる「相続時精算課税」も、受贈者の年齢について20歳以上という要件を定めているが、これも18歳以上に改められる見通しだ。改正後は同制度を2年早く利用することができるため、生前贈与を含めた相続税対策に影響を及ぼしそうだ。 改正民法が成立すれば、成人年齢の見直しは1876(明治9)年以来約140年ぶりとなる。時代の変化に合わせるため、近年では契約に関する規定や遺産分割ルールなど民法の大改正が相次いでいるが、それぞれ施行時期が異なるので気を付けたい。現国会で成立予定の遺産分割ルールは早ければ2019年から、すでに法成立している契約に関するルールは20年から、成人年齢の引き下げは22年施行の予定となっている。提供元:エヌピー通信社
2018.04.27 10:02:01