HOME ニュース一覧 過少申告の意図は認められないと判断、重加算税を全部取消し

税ニュース

過少申告の意図は認められないと判断、重加算税を全部取消し

国税通則法 判例 その他

 所得税の修正前の申告が事実を隠ぺい又は仮装したところに基づくものか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認できず、その意図を認めるに足りる証拠もないと判断、原処分を全部取り消した。

 この事件は、医師である審査請求人が、原処分庁の調査で申告漏れを指摘され、5年分の所得税等・消費税等の修正申告をしたところ、原処分庁が収入の申告漏れは課税要件事実の隠ぺい又は仮装に基づくものであると認定、重加算税の賦課決定処分等をしてきたのが発端になったもの。

 そこで医師側が、事実の隠ぺい又は仮装はないと主張、所得税及び消費税等に係る原処分の全部取消しを求めるとともに、その余の過少申告加算税相当額を超える部分に相当する額の取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁側は、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づいて過少申告をしているのであるから、修正前申告は隠ぺい又は仮装したところに基づくものであるという主張を展開した。

 裁決はまず、国税通則法68条が定める重加算税制度の趣旨に触れ、重加算税を課すためには、納税者の過少申告行為そのものが隠ぺい、仮装に当たるというだけでは足りず、過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要すると指摘。

 つまり、単なる不申告ないし過少申告だけではその要件を満たさず、ほ脱の意図をもって、その手段として税の賦課徴収を不能若しくは著しく困難にさせるような何らかの偽計その他の工作を行っていることが前提になるというわけだ。

 その上で、1)収入を適正に申告していると誤解していたものと考える余地があり、2)調査担当職員に預金口座の存在を殊更隠ぺいしようとしたとは考え難く、その通帳以外の通帳を提示すれば問題ないと考えて通帳を提示しなかったものとみる余地があるとも認定。その結果、原処分庁側が主張する事情は、当初から請求人が所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その意図を認めるに足りる証拠もないから、重加算税の賦課要件を満たさないと判断、原処分を全部取り消している。

                    (2017.08.23国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

関連リンク

広がる相続税申告書の添付書類の範囲

税ニュース
/news/tax/2018/img/img_kokuzeitsusoku_01_s.jpg
 所得税の修正前の申告が事実を隠ぺい又は仮装したところに基づくものか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、当初から所得を過少に申告する意図を有していたことを推認できず、その意図を認めるに足りる証拠もないと判断、原処分を全部取り消した。 この事件は、医師である審査請求人が、原処分庁の調査で申告漏れを指摘され、5年分の所得税等・消費税等の修正申告をしたところ、原処分庁が収入の申告漏れは課税要件事実の隠ぺい又は仮装に基づくものであると認定、重加算税の賦課決定処分等をしてきたのが発端になったもの。 そこで医師側が、事実の隠ぺい又は仮装はないと主張、所得税及び消費税等に係る原処分の全部取消しを求めるとともに、その余の過少申告加算税相当額を超える部分に相当する額の取消しを求めて審査請求したという事案である。 原処分庁側は、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づいて過少申告をしているのであるから、修正前申告は隠ぺい又は仮装したところに基づくものであるという主張を展開した。 裁決はまず、国税通則法68条が定める重加算税制度の趣旨に触れ、重加算税を課すためには、納税者の過少申告行為そのものが隠ぺい、仮装に当たるというだけでは足りず、過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要すると指摘。 つまり、単なる不申告ないし過少申告だけではその要件を満たさず、ほ脱の意図をもって、その手段として税の賦課徴収を不能若しくは著しく困難にさせるような何らかの偽計その他の工作を行っていることが前提になるというわけだ。 その上で、1)収入を適正に申告していると誤解していたものと考える余地があり、2)調査担当職員に預金口座の存在を殊更隠ぺいしようとしたとは考え難く、その通帳以外の通帳を提示すれば問題ないと考えて通帳を提示しなかったものとみる余地があるとも認定。その結果、原処分庁側が主張する事情は、当初から請求人が所得を過少に申告する意図を有していたことを推認させるものとまではいえず、その意図を認めるに足りる証拠もないから、重加算税の賦課要件を満たさないと判断、原処分を全部取り消している。                    (2017.08.23国税不服審判所裁決)提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
2018.04.16 17:00:03