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EUが「デジタル課税」提案 IT企業 売上国で課税 米国は猛反対

 国境を超えた企業活動によって利益を得るグーグルやアマゾンなどの多国籍企業への対抗策として、EU(欧州連合)は3月21日、売上高に応じて国ごとに課税する「デジタル課税」を導入する案を打ち出した。各国の税制の違いを利用して税負担を抑える巨大IT企業に相応の税負担を課したい考えだが、多くのIT企業を抱える米国は反対する姿勢を示していて、欧米間の新たな対立要因になりかねない。
 EUの「デジタル課税」案の公表に先立つ3月20日に閉幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、グローバルに活動するIT企業への課税制度について2020年までに国際的な合意を得るとの方針を確認した。背景にあるのはグーグル、アップル、アマゾンなどの多国籍企業による租税回避行為への危機感だ。これらの企業は、多くの国が導入している企業誘致のための税優遇策や、各国の税制の違いを利用して、多額の利益を上げながらも、それに応じた税金をどの地域にも納めていないことが近年国際的に問題視されていた。
 G20では、国内に支店などの恒久的施設がない企業に対しては法人税を課税できないという従来の税の原則を見直し、19年に検討の進捗報告を行い、20年までに合意を目指すとした。また国際的な合意ができるまで、条件付きで各国が暫定処置で対応することを容認した。
 EUの提案する「デジタル課税」は、その暫定処置に当たるものだ。現行の法人税の仕組みは原則的に、本社のある国に利益に応じて納めるものだが、EU案では、利益ではなく売上高に応じて、本社のある国ではなく売上が発生した土地で課税する。子会社などを通じて課税地での利益を限りなくゼロに近づける多国籍企業の税逃れを防止する狙いだが、実現には困難を伴いそうだ。
 同税制が対象とするアマゾンやグーグルなど、多くのIT巨大企業は米国に本社を置いている。新制度が実現すれば自国の税収が減る可能性が高いことから、米国はEU案を「雇用創出や経済成長に大きく貢献しているIT企業への新たな税負担は、労働者や消費者をも傷つけるもので、断固として反対」(ムニューシン財務長官)と早くもけん制した。EUと米国はアルミニウムなどにかける関税を巡って対立を深めている局面なだけに、IT企業への課税が新たな火種ともなりかねない様相だ。

提供元:エヌピー通信社



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12月9日更新

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 国境を超えた企業活動によって利益を得るグーグルやアマゾンなどの多国籍企業への対抗策として、EU(欧州連合)は3月21日、売上高に応じて国ごとに課税する「デジタル課税」を導入する案を打ち出した。各国の税制の違いを利用して税負担を抑える巨大IT企業に相応の税負担を課したい考えだが、多くのIT企業を抱える米国は反対する姿勢を示していて、欧米間の新たな対立要因になりかねない。 EUの「デジタル課税」案の公表に先立つ3月20日に閉幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、グローバルに活動するIT企業への課税制度について2020年までに国際的な合意を得るとの方針を確認した。背景にあるのはグーグル、アップル、アマゾンなどの多国籍企業による租税回避行為への危機感だ。これらの企業は、多くの国が導入している企業誘致のための税優遇策や、各国の税制の違いを利用して、多額の利益を上げながらも、それに応じた税金をどの地域にも納めていないことが近年国際的に問題視されていた。 G20では、国内に支店などの恒久的施設がない企業に対しては法人税を課税できないという従来の税の原則を見直し、19年に検討の進捗報告を行い、20年までに合意を目指すとした。また国際的な合意ができるまで、条件付きで各国が暫定処置で対応することを容認した。 EUの提案する「デジタル課税」は、その暫定処置に当たるものだ。現行の法人税の仕組みは原則的に、本社のある国に利益に応じて納めるものだが、EU案では、利益ではなく売上高に応じて、本社のある国ではなく売上が発生した土地で課税する。子会社などを通じて課税地での利益を限りなくゼロに近づける多国籍企業の税逃れを防止する狙いだが、実現には困難を伴いそうだ。 同税制が対象とするアマゾンやグーグルなど、多くのIT巨大企業は米国に本社を置いている。新制度が実現すれば自国の税収が減る可能性が高いことから、米国はEU案を「雇用創出や経済成長に大きく貢献しているIT企業への新たな税負担は、労働者や消費者をも傷つけるもので、断固として反対」(ムニューシン財務長官)と早くもけん制した。EUと米国はアルミニウムなどにかける関税を巡って対立を深めている局面なだけに、IT企業への課税が新たな火種ともなりかねない様相だ。提供元:エヌピー通信社
2018.03.23 09:31:48