相続関係の民法改正法案が国会提出
政府は3月13日、民法の相続分野を見直す民法改正法案を国会に提出した。相続人となった高齢の配偶者保護に重点を置いた改正の柱は、配偶者居住権の新設と遺産分割規定の見直し。
配偶者居住権については、被相続人の死亡後も被相続人が所有していた住宅に配偶者が無償で住み続けることができる権利を確保する。「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」があり、前者は遺産分割確定までの間、後者は終身の間存続。売却する権利がないため評価が低くなり、その分預貯金などの取り分が増える。
遺産分割については、婚姻期間20年以上の夫婦間で住居を生前贈与または遺贈した場合に、持戻し免除の意思表示があったものと推定(民法第903条第3項)。その住居は遺産分割の対象から外れることとなる。
このほか相続人以外の者の貢献を考慮する方策として、これまで相続人にのみ認められてきた寄与分について、被相続人に無償で療養や看護などをした相続人以外の親族(特別寄与者)も請求できることとなる。具体的には相続人の配偶者などが想定される。
今回の改正では相続税への影響が注目されるものも少なくない。配偶者居住権は財産的価値があるため評価額の算定方法がどうなるか気になるところ。また、相続人以外の親族である特別寄与者分が相続税の計算上どのように取り扱われるかにも関心が寄せられる。
相続に関する民法改正は約40年ぶり。法案が成立すれば平成31年中には施行される見通しだ。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)