催告後6ヵ月以内の承認でも催告の時効中断効が生じると判断、棄却
国税の滞納者が審査請求人にした不動産の贈与が無償の譲渡に該当すると判断され、第二次納税義務の納付告知処分及び不動産の差押処分が行われたことをめぐり、滞納国税に係る徴収権の消滅時効の中断の有無、さらに徴収権濫用の違法性の有無が争われた事件で国税不服審判所は、催告後6ヵ月以内にされた承認によっても催告による時効中断効が生じると解するのが相当であると判断、審査請求を棄却した。
この事件は、滞納者からの審査請求人への不動産の贈与が第二次納税義務を定めた国税徴収法39条の「無償による譲渡」に該当すると原処分庁が判断、請求人に対して第二次納税義務の納付告知処分を行った上、その第二次納税義務に係る国税を徴収するため、請求人所有の不動産の差押処分をしたのが発端。
そこで請求人側が、納付告知処分については滞納者の滞納国税に係る徴収権の消滅時効が完成していると主張するとともに、差押処分に関しては納付告知処分の取消しに伴って無効になると主張、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。
請求人側は、滞納者の滞納国税に係る債務の承認によって催告による時効中断の効力が生じるとする原処分庁の民法153条(催告)に関する解釈は誤っていることから、滞納国税の徴収権の時効は中断していない旨主張して、原処分の全部取消しを求めたわけだ。
これに対して裁決はまず、民法153条が定める債権者の催告は、債権者が正規の中断事由によって補強することにより時効中断の効力を認めるもので、正規の中断手続をとるのが遅れることにより時効が完成するのを防ぐ便法として機能することが期待されていると解釈するとともに、債権者の催告について、債務者の行為による正規の中断事由である承認を債権者の行為による正規の中断事由と区別する理由はないことから、催告後6ヵ月以内にされた承認によっても、同条が定める催告による時効中断効が生じると解釈。
その結果、滞納者が行った承認は、原処分庁が差押予告書の送達によって行った滞納国税に関する催告後6ヵ月以内にされたものであるから、承認によって差押予告書による催告の時効中断の効力が生じたものと認めるのが相当であると判断して、審査請求を棄却した。
(17.05.29国税不服審判所裁決)
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)