配偶者保護の民法改正、ココに注意!
法務大臣の諮問機関である法制審議会は2月16日、民法(相続法)を見直す改正要綱を上川陽子法相に答申した。残された高齢の配偶者保護を手厚くする方策が柱となっている。配偶者保護の方策として盛り込まれたのは「配偶者居住権」。売却する権利がないため評価が低くなり、その分預貯金などの取り分が増える。
また、婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、残された配偶者が遺産分割で優遇される新しい規定が適用になる。具体的には、住居を生前贈与又は遺贈したときは、持戻し免除の意思表示があったものと推定(民法第903条第3項)され、その住居は遺産分割の対象から外れる。長期居住権の遺贈又は死因贈与も対象。
いずれも残された高齢の配偶者が生活に困らないよう配慮した方策だが、注意点もある。例えば、配偶者居住権は、配偶者の居住権を長期的に保護するために譲渡を禁止することとされている。このため、将来的に住居を売却して介護施設への入居を考えている場合などは注意が必要だ。
また、一連の改正は法律婚が前提となっているため、事実婚は対象外となる。家族のあり方の多様化が進む中、時代に即応した見直しにも期待が寄せられる。
政府は民法改正案など関連法案を今国会に提出する方針。相続に関する民法改正は実現すれば約40年ぶりとなることから今後の動向に注目が集まる。
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)