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国税庁 ハズレ馬券 通達ふたたび改正へ

 国税庁は2月15日、「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」とする文書を発表し、競馬や競輪の課税関係についての実務上の取り扱いを定めた所得税基本通達34-1を改正する方針を明らかにした。馬券の払戻金が一時所得にあたるか雑所得にあたるかが争われた裁判で、最高裁が昨年12月15日、「独自の予想ソフトを私用していなくても馬券の払戻金は雑所得にあたる」と判示したことを受けたもの。競馬の払戻金の取り扱いを定めた通達が改正されるのは2回目となる。
 この裁判で被告となった男性は、自動購入ソフトなどは使わず、レースごとに結果を予想して、計約72億7千万円分の馬券を購入して計約5億7千万円の利益を得ていた。競馬の馬券の払戻金による収入は、原則的には偶発的な収入として「一時所得」と見なされ、収入に直接要した金額のみが経費と認められるため、収入に直接結び付いていないハズレ馬券の購入費用は経費にあたらない。しかし継続的、網羅的に馬券が購入されていると認められれば「雑所得」として、ハズレ馬券も経費に当たるとされている。
 男性の馬券購入について一審では「経済活動の実態があるとは言えない」として男性の主張を退けたが、二審では「多額の利益を恒常的に上げていて、大阪府の男性と本質的に違いはない」として逆転勝訴を言い渡していた。最高裁は二審判決を支持したことになる。
 ハズレ馬券の経費を巡る税務に転機が訪れたのは、2015年の最高裁判決だ。大阪府の男性が自作の競馬予想ソフトを利用して3年間で得た約30億1千万円の配当金について、「偶発性に左右される一般の馬券購入と異なりソフトを使用して継続的に馬券を購入することによって個別のレースの当たり外れの偶然性を抑えている」として、最高裁は払戻金を雑所得と認定した。この判決を受けて、同年5月にこれまで一律に一時所得としていた払戻金の取り扱いに関する通達を改正。通常は従来どおり一時所得として扱う原則は維持した上で、「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して(中略)個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして(中略)経済活動の実態を有することが客観的に明らか」である時に限って雑所得と認めると明示した。しかし今回の裁判で、ソフトを使っていなくても払戻金が雑所得に当たる可能性が示されたことで、国税庁は再度の通達改正を余儀なくされたわけだ。
 国税庁のホームページでは、今回の最高裁判決だけでなく、1500回〜2000回にわたる馬券購入の払戻金が「雑所得に当たらない」と認定された別の男性についての高裁判決の事例も掲載している。国税庁は「パブリックコメントを行った上で、通達を改正する」としているが、あえての「両論併記」には、払戻金が雑所得と認定される範囲が無制限に拡大されることをけん制したいとの思惑がにじむ。

提供元:エヌピー通信社

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10月4日更新

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 国税庁は2月15日、「競馬の馬券の払戻金に係る課税について」とする文書を発表し、競馬や競輪の課税関係についての実務上の取り扱いを定めた所得税基本通達34-1を改正する方針を明らかにした。馬券の払戻金が一時所得にあたるか雑所得にあたるかが争われた裁判で、最高裁が昨年12月15日、「独自の予想ソフトを私用していなくても馬券の払戻金は雑所得にあたる」と判示したことを受けたもの。競馬の払戻金の取り扱いを定めた通達が改正されるのは2回目となる。 この裁判で被告となった男性は、自動購入ソフトなどは使わず、レースごとに結果を予想して、計約72億7千万円分の馬券を購入して計約5億7千万円の利益を得ていた。競馬の馬券の払戻金による収入は、原則的には偶発的な収入として「一時所得」と見なされ、収入に直接要した金額のみが経費と認められるため、収入に直接結び付いていないハズレ馬券の購入費用は経費にあたらない。しかし継続的、網羅的に馬券が購入されていると認められれば「雑所得」として、ハズレ馬券も経費に当たるとされている。 男性の馬券購入について一審では「経済活動の実態があるとは言えない」として男性の主張を退けたが、二審では「多額の利益を恒常的に上げていて、大阪府の男性と本質的に違いはない」として逆転勝訴を言い渡していた。最高裁は二審判決を支持したことになる。 ハズレ馬券の経費を巡る税務に転機が訪れたのは、2015年の最高裁判決だ。大阪府の男性が自作の競馬予想ソフトを利用して3年間で得た約30億1千万円の配当金について、「偶発性に左右される一般の馬券購入と異なりソフトを使用して継続的に馬券を購入することによって個別のレースの当たり外れの偶然性を抑えている」として、最高裁は払戻金を雑所得と認定した。この判決を受けて、同年5月にこれまで一律に一時所得としていた払戻金の取り扱いに関する通達を改正。通常は従来どおり一時所得として扱う原則は維持した上で、「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して(中略)個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして(中略)経済活動の実態を有することが客観的に明らか」である時に限って雑所得と認めると明示した。しかし今回の裁判で、ソフトを使っていなくても払戻金が雑所得に当たる可能性が示されたことで、国税庁は再度の通達改正を余儀なくされたわけだ。 国税庁のホームページでは、今回の最高裁判決だけでなく、1500回〜2000回にわたる馬券購入の払戻金が「雑所得に当たらない」と認定された別の男性についての高裁判決の事例も掲載している。国税庁は「パブリックコメントを行った上で、通達を改正する」としているが、あえての「両論併記」には、払戻金が雑所得と認定される範囲が無制限に拡大されることをけん制したいとの思惑がにじむ。提供元:エヌピー通信社
2018.02.16 09:48:38