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合併法人の株主に公益財団法人が含まれている場合の支配関係

 国税庁はこのほど、合併法人の株主に公益財団法人が含まれている場合の支配関係の判定について、文書回答事例を公表した。照会者は菓子卸売業などを営む法人X社。発行済株式の43.3%を甲一族が保有し、0.8%をA社(菓子製造業・甲一族が株式100%保有)が、39.5%を公益財団法人であるB法人(甲一族が基本財産全拠出)が、残りの16.4%を甲の親族でない複数の個人が保有している。
 X社はA社を被合併法人とする吸収合併を予定しているが、甲一族とA社はX社の発行済株式の50%以下しか保有していないため、X社とA社との間には支配関係はなく、本件合併が適格合併となるためには、「共同で事業を行うための合併」に該当する必要があるかを事前照会した。

 合併当事者の株主構成をみると、甲とA社との間には当事者間の支配の関係があり、甲とX社との間には当事者間の支配の関係はない。しかしB法人の基本財産は全て甲一族が拠出したものであり、これを「出資」とみた場合、甲とB法人との間には当事者間の支配の関係があることとなり、甲一族及びA社が保有するX社株式にB法人が保有する当社株式を合わせるとX社の発行済株式の50%超を保有することとなるので、甲とX社との間には当事者間の支配の関係(みなし直接支配関係)があるといえるのではないかとの疑義が生じる。

 しかし、「出資」とは拠出された金銭等の額を意味すると同時に、拠出者が取得する持分又は出資持分をも意味すると考えられるところ、一般財団法人は設立者が拠出した財産に法人格を与えたものであって持分又は出資持分という観念はないので、一般財団法人(公益財団法人)の基本財産は「出資」とはいえない。このことからすれば、甲一族はB法人の「出資」を保有せず、甲とB法人との間には当事者間の支配の関係があるとはいえないため、甲とX社との間にも当事者間の支配の関係があることにはならない。

 したがってX社とA社との間には支配関係はないこととなり、本件合併が適格合併となるためには「共同で事業を行うための合併」に該当する必要があると考えられるとの見解を示した。

 これについて国税庁は、事実関係を前提とする限り照会者の見解のとおりで差し支えないとした。

合併法人の株主に公益財団法人が含まれている場合の支配関係の判定について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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 国税庁はこのほど、合併法人の株主に公益財団法人が含まれている場合の支配関係の判定について、文書回答事例を公表した。照会者は菓子卸売業などを営む法人X社。発行済株式の43.3%を甲一族が保有し、0.8%をA社(菓子製造業・甲一族が株式100%保有)が、39.5%を公益財団法人であるB法人(甲一族が基本財産全拠出)が、残りの16.4%を甲の親族でない複数の個人が保有している。 X社はA社を被合併法人とする吸収合併を予定しているが、甲一族とA社はX社の発行済株式の50%以下しか保有していないため、X社とA社との間には支配関係はなく、本件合併が適格合併となるためには、「共同で事業を行うための合併」に該当する必要があるかを事前照会した。 合併当事者の株主構成をみると、甲とA社との間には当事者間の支配の関係があり、甲とX社との間には当事者間の支配の関係はない。しかしB法人の基本財産は全て甲一族が拠出したものであり、これを「出資」とみた場合、甲とB法人との間には当事者間の支配の関係があることとなり、甲一族及びA社が保有するX社株式にB法人が保有する当社株式を合わせるとX社の発行済株式の50%超を保有することとなるので、甲とX社との間には当事者間の支配の関係(みなし直接支配関係)があるといえるのではないかとの疑義が生じる。 しかし、「出資」とは拠出された金銭等の額を意味すると同時に、拠出者が取得する持分又は出資持分をも意味すると考えられるところ、一般財団法人は設立者が拠出した財産に法人格を与えたものであって持分又は出資持分という観念はないので、一般財団法人(公益財団法人)の基本財産は「出資」とはいえない。このことからすれば、甲一族はB法人の「出資」を保有せず、甲とB法人との間には当事者間の支配の関係があるとはいえないため、甲とX社との間にも当事者間の支配の関係があることにはならない。 したがってX社とA社との間には支配関係はないこととなり、本件合併が適格合併となるためには「共同で事業を行うための合併」に該当する必要があると考えられるとの見解を示した。 これについて国税庁は、事実関係を前提とする限り照会者の見解のとおりで差し支えないとした。
2018.02.15 09:58:57