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米国の法人税率21%へ 世界引き下げ競争加速か

 トランプ米政権と与党共和党が、約30年ぶりとなる大型法人減税を実施する。税制改革法案は、法人税率(連邦税)を現行の35%から21%に引き下げ、日本を含む主要先進国では最低水準に近づく。米国産業の国内回帰を促し、さらなる雇用確保や賃上げにつなげたい狙いだ。
 ただし、期待通りの効果が出るかどうかは不透明だ。米国の賃金が高い状況は変わらない中、企業が国内投資に慎重姿勢を崩さず、減税分は企業買収や株式の買い戻し、配当の増額などに充てられる可能性がある。期待感が世界の株価を押し上げるものの、雇用や賃金増効果は限られる。政権も成果を急いだこともあり、十分な議論が行われないまま、企業や富裕層が節税などに利用する「税制の抜け穴」をふさぐ対策は一部にとどまった一方で、個人事業主への優遇税制を拡大することが盛り込まれた。
 他方、米国が大幅法人減税に踏み切ったことで、各国の「法人税引き下げ競争」に拍車をかける可能性がある。連邦政府、地方税を合わせた法人税率(カリフォルニア州の場合)は、従来の40.75%から27.98%に低下する。米国は先進国の中でも法人税率が高い水準だったが、日本が2015年末に30%を下回る水準への法人税引き下げを決め、フランスは20年に28%への下げを予定。米国の決めた21%は、他国に負けない数字を意識した結果だ。
 日本では、16年度に29.97%、18年度は29.74%となる予定だ。ただ、経済界からは「日本より、米国に進出する企業にとっては直接的な恩恵になる」との指摘が出るほか、更なる法人税率引き下げに向けた政府に対する圧力が強まりそうだ。

提供元:エヌピー通信社

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トランプ米政権と与党共和党が、約30年ぶりとなる大型法人減税を実施する。税制改革法案は、法人税率(連邦税)を現行の35%から21%に引き下げ、日本を含む主要先進国では最低水準に近づく。米国産業の国内回帰を促し、さらなる雇用確保や賃上げにつなげたい狙いだ。
2018.01.05 09:30:12