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最高裁、外れ馬券の購入代金は必要経費と判断、国側敗訴で確定

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 所得税の申告の際に、競馬の外れ馬券の購入代金を必要経費として算入できるか否かの判断が争われた事件で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は控訴審の判決内容を支持、競馬の当たり馬券の払戻金は雑所得(所法35①)に該当するとともに、外れ馬券の購入代金は雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として必要経費(所法37①)に該当すると判示、控訴審と同様、国側の主張を棄却する判決を言い渡した。

 この事件は、長期間にわたって馬券を購入し、当たり馬券の払戻金を得ていた者が、確定申告の際、当たり馬券の払戻金は雑所得、外れ馬券の購入代金は必要経費に当たると判断して総所得金額及び納付すべき税額を計算して申告したのが発端となった。

 しかし原処分庁が、所得は一時所得に該当するため、外れ馬券の購入代金を一時所得に係る総収入金額から控除することはできないと否認、所得税に係る更正処分、無申告加算税及び過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、馬券の購入者がその取消しを求めて提訴したという事案である。

 その結果、一審の東京地裁は原処分庁の判断を支持して棄却したが、控訴審の東京高裁は雑所得に該当し、外れ馬券の購入代金は必要経費に当たると判断、原処分を取り消したため、国側が控訴審の判決の取消しを求めて上告していたというのが一連の流れ。

 最高裁はまず、控訴審で確定した事実関係等を整理した上で、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様に照らせば、一連の行為は継続的行為と言えると指摘。また、馬券購入の態様に加え、利益発生の規模、期間その他の状況等に鑑みると、回収率が総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたと認め、そうした一連の行為は、客観的に見て営利を目的とするものであったということができるとも指摘した。

 そうした判断から、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として、所得税法35条1項にいう雑所得に当たると解するのが相当と判示。さらに、一連の馬券の購入により利益を得るためには、外れ馬券の購入は不可避であったとも指摘。その上で、外れ馬券の購入代金は、雑所得である当たり馬券の払戻金を得るため直接に要した費用として、所得税法37条1項が定める必要経費に当たると判示した。結局、裁判官全員一致で、国側の上告を棄却する判決を言い渡して、納税者勝訴で事件は確定した。

           (最高裁第二小法廷2017.12.15判決、平成28年(行ヒ)第303号)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

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2017.12.19 09:35:20