借地権価額控除方式には一般的に合理性があると判示して棄却
借地権が設定されている相続財産の土地の評価を巡って、財産評価基本通達が定める借地権価額控除方式で評価することの合理性の有無が争われた事件で東京地裁(谷口豊裁判長)は、借地権価額控除方式は土地の時価を算定する上で一般的な合理性を有しており、同方式によって適正な時価を適切に算定することができない特別の事情があるとも認められないと判示して、納税者側の主張を斥ける判決を言い渡した。
この事件は、借地権が設定されている土地を相続した者が、不動産鑑定評価に基づく評価額で相続税の申告及び修正申告をしたところ、原処分庁が相続した土地については評価通達に拠らない特別な事情があるとは認められず、過少評価になっていると判断して、相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、さらに再更正処分等をしてきたのが発端となった。
そこで相続人側が、再更正処分には時価を超える評価をした違法があるなどと主張して、原処分の取消しを求めて提訴したという事案である。相続人側は、底地については個別に時価評価を実施した場合の評価額が評価通達によって算定される評価額を下回るのが通常であるから、借地権価額控除方式を定めた評価通達25は、納税者に過大な負担を課す不合理なものであるという主張を展開した。
これに対して判決は、借地権価額控除方式は底地の価額をその地域の借地権取引の状況等を踏まえて定められた借地権割合を乗じて算定される土地の借地権価額との相関関係において捉え、自用地としての価額から借地権価額を控除して残余の土地の経済的価値を把握しようとするものであり、底地の客観的交換価値に接近する方法として相応の合理性を有する方法の一つであると解釈。
また、借地権価額控除方式によっては適正な時価を適切に評価できない特別の事情があるとは言えないと指摘するとともに、鑑定評価額には不合理な点があるとも指摘した上で、借地権価額控除方式によって土地を評価することには合理性があると判示して、相続人側の請求を斥ける判決を言い渡した。
(2017.03.03東京地裁判決、平成25年(行ウ)第321号)
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