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配当計算期間は配当計算期間の初日から配当の基準日までと判断

 法人税額から控除される配当等の所得税額の計算をする際に、その計算基礎となる元本の所有期間割合の判断が争われた事件で国税不服審判所は、判定対象となる配当等が1年前以前に設立された法人から設立の日以後最初に支払われる剰余金配当等に該当するため、元本所有期間の月数は7ヵ月と認定した上で、原処分の一部を取り消した。

 この事件は、審査請求人が関連会社からの受取配当に係る所得税額の全額を法人税額から控除して法人税の確定申告をしたところ、原処分庁が配当に係る元本を所有していた期間に対応するものとして計算される所得税額の計算に誤りがあると申告内容を否認して法人税の更正処分等をしてきたことから、請求人が配当に係る元本を所有していた期間の認定に誤りがある等と主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 関連会社の株式に対する配当に関する配当計算期間のうちに元本所有期間が占める所有期間割合の算定に当たって、原処分庁側は、配当計算期間が12ヵ月、元本所有期間が3ヵ月であるから、所有期間割合は12ヵ月分の3ヵ月(つまり0.250)になると主張する一方、請求人側は、配当計算期間が4ヵ月、元本所有期間も4ヵ月であるから、所有期間割合は4ヵ月分の4ヵ月(つまり1.000)となる旨主張を展開した。

 しかし裁決は、配当は判定対象配当等が1年前以前に設立された法人から設立の日以後最初に支払われた剰余金配当等に該当すると認定した上で、配当計算期間の初日は配当の支払いに係る基準日の1年前の日の翌日となることから、配当計算期間の月数は配当計算期間の初日から配当の基準日までの12ヵ月になると指摘した。

 その結果、請求人の元本所有期間の月数は7ヵ月となり、所有期間割合(7ヵ月/12ヵ月)は0.584になると判断。結局、これを前提に法人税額から控除される所得税等の額を計算した結果、原処分の一部を取り消す結果になった。判定対象配当等がその支払いに係る基準日の1年前以前に設立された法人から設立の日以後最初に支払われる剰余金配当等である場合の、法人税の額から控除される所得税の額(法令140の2②)を判断した点にポイントが置かれた事例である。

                        (2017.01.26国税不服審判所裁決)

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)



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2018.07.05 18:27:02