債権放棄受けた農業関連業者の評価損OK
資金繰りにあえぐ農業生産関連事業者が、事業の継続や再建を目的に債権放棄を受ける場合、一定の手続きの中で生じた評価損については、税務上の損金計上が認められることが明らかとなった。これは、農林水産省からの照会に対して、国税庁が19日、9月12日付で回答したことを公表したもの。
照会のタイトルは「農業競争力強化支援法において債権放棄を伴う事業再編計画が認定された場合の資産評価損の計上に係る税務上の取扱いについて」。平成29年5月に成立した農業競争力強化支援法では、日本の農業発展のためには良質で低廉な農業資材の供給と農産物流通等の合理化が重要であるとして、資材や流通分野の農業生産関連事業について国が事業再編を促進することとされた。
生産性が低いなど事業再編の促進が特に必要と認められる事業分野については、「事業再編計画」を作成し、農林水産大臣などの認定を受けた事業者に対して金融・税制等の支援措置を講ずるとしている。
一般に比べて利益率が低く資金繰りが厳しいなど財務状況の悪い事業者は、「債権放棄を伴う事業再編計画」を作成することになるが、同計画においては通常、事業や施設等の絞り込みが行われて、今後事業の用に供さない資産の処分が想定され、こうした資産については会計上、評価損の計上が必要になる。
一方、法人税法では、原則として資産の評価損は損金の額に算入しないこととされており、「一定の事実が生じた場合」において評価換えをしたときにのみ例外的に評価損の計上が認められているところ。
照会では、大臣の認定を受けた「債権放棄を伴う事業再編計画」で資産評定が行われ、資産の評価換えをしたケースを「一定の事実が生じた場合」と認め、評価損を損金算入できると解して差し支えないか、との問いに対して「照会に係る事実関係を前提とする限り、差し支えない」旨の回答がなされている。
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