HOME ニュース一覧 米国が国境調整税を見送りひとまず安堵の日本企業

税ニュース

米国が国境調整税を見送りひとまず安堵の日本企業

 トランプ米政権と与党・共和党指導部は7月27日、年内の決着を目指している税制改革についての共同声明を出し、「国境調整税」の導入を断念すると表明した。法人税の課税にあたり米国からの輸出を免税扱いにし、反対に輸入は課税強化する構想だったが、増税が見込まれる小売業界や自動車販売などの輸入産業が強く反対していた。米国への輸出がある日本の自動車メーカーなどにも警戒感が広がっていたが、ひとまず回避された形だ。
 国境調整税は、企業の輸出を税制上有利にし、輸入を不利にすることで国内産業の振興を図ろうと共和党指導部が提唱し、法人税減税の財源確保策としてした。しかし、米国内でも輸入業界などが反対したほか、トランプ大統領も「複雑すぎる」などと難色を示していたため、政権が4月に発表した税制改革の基本方針には盛り込まれていなかった。
 声明は「国境調整税には多くの不確実性があり、税制改革を前に進めるために棚上げする」と表明したが、税制改正の中心となる現行35%の法人税率(連邦税)の減税をめぐり、引き下げ幅や代替税源の確保などの具体策は示されなかった。
 断念により代替財源探しも難航する。政権と共和党は景気押し上げ効果のある恒久減税化を目指しているが、米国には代替財源が確保できない場合は減税恒久化を原則認めないとの規定もある。協議すべき事項も多く残っており、税制改革の年内決着は危ぶまれている。

提供元:エヌピー通信社

この記事のカテゴリ

関連リンク

国税の滞納発生超えるペースで「処理」滞納残高は8971億円

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


税ニュース
/news/tax/2017/img/img_kokuzei_02_s.jpg
 トランプ米政権と与党・共和党指導部は7月27日、年内の決着を目指している税制改革についての共同声明を出し、「国境調整税」の導入を断念すると表明した。法人税の課税にあたり米国からの輸出を免税扱いにし、反対に輸入は課税強化する構想だったが、増税が見込まれる小売業界や自動車販売などの輸入産業が強く反対していた。米国への輸出がある日本の自動車メーカーなどにも警戒感が広がっていたが、ひとまず回避された形だ。 国境調整税は、企業の輸出を税制上有利にし、輸入を不利にすることで国内産業の振興を図ろうと共和党指導部が提唱し、法人税減税の財源確保策としてした。しかし、米国内でも輸入業界などが反対したほか、トランプ大統領も「複雑すぎる」などと難色を示していたため、政権が4月に発表した税制改革の基本方針には盛り込まれていなかった。 声明は「国境調整税には多くの不確実性があり、税制改革を前に進めるために棚上げする」と表明したが、税制改正の中心となる現行35%の法人税率(連邦税)の減税をめぐり、引き下げ幅や代替税源の確保などの具体策は示されなかった。 断念により代替財源探しも難航する。政権と共和党は景気押し上げ効果のある恒久減税化を目指しているが、米国には代替財源が確保できない場合は減税恒久化を原則認めないとの規定もある。協議すべき事項も多く残っており、税制改革の年内決着は危ぶまれている。
2017.08.10 10:29:22